整復の施術について

整復と関節のズレ

当院の基幹技術のひとつ【整復(せいふく)】について解説します。

関節整復とは、正常な位置から逸脱した関節を元位置へ復する技術です。

関節の位置異常は、日常生活の同一姿勢や繰り返す動作、出産、ケガ、スポーツによって引き起こされます。

レントゲンでは目視できないほどの微少な関節面のズレにより、痛みや痺れをはじめとし、

頭痛・めまい、動悸、血圧異常、自律神経失調、精神症状、胃腸症状、呼吸器症状、排尿便通、生理痛や不正出血、不妊など様々な不調が現れます。

特に骨盤の歪み=仙腸関節のズレは重力線に対する身体の偏芯を増大させ、全身に影響をだすため、この部の正常化が最優先されます。

よく構造物のビルに喩えられますが、基礎が歪めばビルは傾き、最上階ほどその偏芯は大となり、ビルの中の機材や扉も軋んで、動きにくくなりますよね。

このように骨盤=仙腸関節は身体の土台ということができ、2本足で立つヒトの重力に対する身体の傾きを調整する要の部分となっています。

仙腸関節の損傷は大きく2通り。

  • 前方回転型(AS系)
  • 後方回転型(PIt系)

あなたはどのタイプに当てはまるでしょう?

■前方回転型(ASタイプ)

仙骨に対して腸骨が前上方へと回転。骨盤が緩んで支えられない状態であるため、【非荷重損傷】と呼ばれます。

・通常型非荷重損傷(AS)

    重いものを持ち上げたり、悪姿勢での座位、前屈み姿勢による骨盤の緩み。ギックリ腰はこのタイプ。

・前方辷り出し型非荷重損傷(T軸損傷)

 通常型非荷重損傷の進行型

・外方引き出し型非荷重損傷(ASEX)

 通常型非荷重損傷の進行型。歩行に異常がみられる。出産後の腰痛に多い。比較的重症。

・墜下型非荷重損傷(ASd)

 側溝などに足をはめ、突ききれなかった場合に起こる。

・外傷性非荷重損傷(ASt)

 前方へ転倒し、膝を突きこむことによる外傷(ケガ)によって発生。将来脚に麻痺が発生。重症タイプ。

■後方回転型(PItタイプ)

尻もちなどによって、腸骨が後方へ高速回転するため関節が噛み合ってロックした状態となり【外傷性角加速度損傷】と呼ばれる。

尻もち外傷、高所からの飛び降りや転落、階段からの転落などにより、お尻や脚を地面に突き込むことによって発生する。

将来的に下肢に麻痺が起こるため早急な処置が必要。重症タイプ

この型にも3種類ある。

上記9種類の損傷が確認されている。

■複合タイプ

AS型の各種とPIt型が複合していることがほとんどです。そのため、損傷の順にすべての異常を除去していく必要があります。

如何でしたでしょうか?

それぞれに対して固有の整復法が存在し、損傷の種類を同定するための検査があります。

当院では検査を重視して、どの損傷が隠れているかをしっかり診させていただいた上で処置していきます。

【整復の力について】

関節=骨を動かすので大きな力が必要と思われるかもしれませんが、一部の整復法を除いて、基本的に整復に力はほとんど必要としません。

関節面の上に手を置き、構えをとった時点で整復はほぼ行われており、

触れている程度の力で整復は完了しますが、

最終的な整復応力は振動を用います(振動整復)。

主に

踵の落下により整復力を発生させる方法と、

上体の落下により整復力を発生させる方法があり、

F=ma(力=質量×加速度)

というニュートンの運動法則を利用しています。

どういうことかというと、

力(質量)を加えると、生物なので反応します。人の身体は緊張し、筋肉が防御的に反応してしまうことで、逆に関節は強固に動かなくなってしまうのです。

そこで、力は最小に抑えながら、自由落下による瞬発力(重力加速度)を最大化することで、筋性防御を引き起こすことなく目的の関節に適切な整復力を加えることを可能にしています。

そのため、カイロプラクティックなどにみられる関節をボキボキ鳴らすようなダイナミックで強く押す力は必要とせず、整復を達成することができるということです。

関節機能を戻すには「潤滑」が最も大切

関節はひっぱってはいけない

関節の機能を取り戻す=関節のズレを解消する+潤滑をとりもどす

ことが必要です。

関節という構造は5億年前から変わらず、シンプルな構造ながら重力下で大変理にかなった働きをしています。

関節は関節包と呼ばれる袋でつつまれるある意味密閉空間であり、内部に圧力を形成することができます。この関節の間には関節液という液体で満たされ、圧力流体を形成します。

よく突き指をしたり、ストレッチが目的であったり、神経の圧迫を回避させるために頸椎や腰椎を牽引するという治療法など、関節を引っ張ればいいという発想がありますが、これは関節にとってはタブーです。

もし関節を引っ張って除圧してしまうと、関節内部が陰圧となり、潤滑性(摩擦なく滑る)が失われ、関節は摩耗しやすくなり摩擦熱により破壊されていきます。

関節が開けば痛みを感じるようになり、関節の可動範囲が狭まり、スムーズな動きを阻害します。

関節液自体の分子や関節軟骨表面の分子がコロのように働くことによって、分子状ベアリング(3層以上分子層があれば潤滑される)として関節面どうしの摩擦を防ぐことができます。

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Nagahama
はじめまして、鍼灸・接骨院「白澤堂HAKUTAKUDOU」の院長・長濱です。 当院では、東洋医学の幅広い知識を現代に活かし、皆様の健康を支える施術を行っております。気血のバランス、骨格のバランスを整えて本来の正常な機能と動作を取り戻すことが大切です。心身のお悩み、お気軽にご相談ください。