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寒暖差疲労とは?季節の変わり目の体調不良の正体
「昼間は暑いのに、朝晩は冷える」
「昨日は寒かったのに今日は半袖でも大丈夫」
季節の変わり目にこんなことが続くと、体がついていかない…と感じる方も多いでしょう。
このときに出てくる だるさ・頭痛・肩こり・めまい・不眠 といった症状は、まとめて「寒暖差疲労」と呼ばれます。医学的な病名ではありませんが、最近注目されている健康キーワードのひとつです。
なぜ寒暖差で疲れるの?自律神経と血流の秘密
日本では、夏と冬で30℃以上の気温差がある地域も少なくありません。京都でも、真夏の35℃近い日と、冬の氷点下では実に35℃前後の差があります。
私たちの体は、この大きな気温差に対応するために「体温を一定に保つ」という仕事を24時間休まず続けています。
- 夏は発散モード
血液を体表に集めて汗をかき、熱を逃がします。 - 冬は保温モード
血液を体の深部に集めて内臓を守り、熱を保ちます。
つまり、同じ血液でも 季節によって体のどこに集まるかが大きく変わる のです。
この「血の大移動」をコントロールしているのが 自律神経。
寒暖差が大きいと自律神経は切り替えを繰り返し、まるで毎日エアコンの冷房と暖房を何度も切り替えるような状態に。結果として自律神経が疲れてしまい、不調が現れます。これが「寒暖差疲労」の正体です。

寒暖差疲労になりやすい人・条件
寒暖差疲労は誰にでも起こり得ますが、とくに次のような人はリスクが高いといわれています。
① 自律神経が乱れやすい生活習慣の人
- 夜更かしや不規則な睡眠が多い
- スマホやPCを長時間使っている
- 運動不足で血流が悪い
👉 自律神経が疲れていると、気温差に対応する余力がなくなります。
② 冷え性や血行不良がある人
- 手足が冷えやすい
- 肩こり・腰痛を常に感じる
- 顔色が悪い、むくみやすい
👉 血管の収縮や拡張がスムーズにできず、寒暖差に弱い傾向があります。
③ ストレスが多い人
- 精神的な緊張が続いている
- イライラ・気分の落ち込みが強い
- 胃腸の不調がよくある
👉 ストレスも自律神経を乱す大きな要因。気温差とダブルパンチになります。
④ 年齢・体質による影響
- 更年期の女性 → ホルモン変動で自律神経が不安定
- 高齢者 → 体温調節機能が低下
- 小児 → 発達途中で寒暖差に弱い
👉 年齢や体質によっても「寒暖差に強い・弱い」があります。
⑤ 環境の影響を受けやすい人
- 一日の寒暖差が10℃以上ある地域に住んでいる
- 冷暖房の効いた室内と外を行き来することが多い
- 出張や旅行など生活リズムが不規則
👉 外気と室内の気温差でも体は強いストレスを受けます。
寒暖差疲労で起こる症状と関連する不調
全身に出る症状
- 体のだるさ
- 疲れやすい、やる気が出ない
- 頭痛・肩こり
- めまい・立ちくらみ
- 不眠、眠りが浅い
- 気分の落ち込み、イライラ
寒暖差アレルギー(血管運動性鼻炎)
花粉症でもないのに「暖房の部屋に入ると鼻水が出る」「外気に当たると鼻がつまる」という方は、寒暖差アレルギーの可能性があります。
これはアレルゲンではなく 気温差で鼻の血管が過剰に反応し、自律神経が乱れることが原因。寒暖差疲労の“鼻バージョン”ともいえます。
寒暖差喘息
「寒い日に咳が止まらない」「季節の変わり目にゼーゼーしやすい」という方は、寒暖差喘息の可能性も。
気温差で気道が刺激され炎症を起こし、呼吸がしづらくなります。これも背景には 自律神経や血管反応の過敏さ が関与しています。
👉 寒暖差疲労は、単なるだるさだけでなく 鼻・呼吸器の不調も含むことがある と覚えておくと安心です。
東洋医学からみた寒暖差疲労
東洋医学では、寒暖差による不調を「気・血の巡りの乱れ」ととらえます。
- 急な温度差 → 気の乱れ(だるさ・疲れやすさ)
- 血流の停滞 → 血の滞り(頭痛・肩こり・冷え)
- 自律神経の乱れ → 陰陽のアンバランス(不眠・情緒不安定)
また「外邪(がいじゃ)」という自然の変化も病因と考えます。寒暖差はまさに「寒邪」と「暑邪」が入り混じった状態。この影響で体のバランスが崩れ、不調が表れてしまうのです。
鍼灸や整体では、この乱れを整え、体が本来持つ自然治癒力を引き出していきます。
セルフケアにおすすめのツボ
合谷(ごうこく)
手の甲、人差し指と親指の骨の交わる部分。
→ 頭痛・肩こり・自律神経の乱れに効果的。
太衝(たいしょう)
足の甲、親指と人差し指の骨の間。
→ イライラや気分の落ち込みを和らげる。
足三里(あしさんり)
膝のお皿の外側から指4本分下がったところ。
→ 胃腸を整え、全身の疲労回復に。
風池(ふうち)
首の後ろ、後頭部の髪の生え際のくぼみ。
→ 頭痛・めまい・目の疲れに。
ツボの押し方
- 息を吐きながら5秒じんわり押す
- 3〜5回繰り返す
- 「痛気持ちいい」くらいが目安
- お灸なら心地よい温かさで止める
ツボ以外の養生法|生活でできる寒暖差疲労対策
服装で調整
- 薄手の上着やストールを持ち歩く
- 首・手首・足首を冷やさない
- 室内でも足元を温める
食養生
- 生姜、ねぎ、シナモン → 巡りを良くする
- 根菜類(にんじん・ごぼう・大根) → 内側から温める
- 温かいスープやお茶をこまめに
入浴
- 38〜40℃のお湯に15分
- 寝る1〜2時間前に入浴 → 睡眠の質がアップ
睡眠
- 就寝・起床時間を一定に
- 就寝前のスマホを控える
- 深呼吸やストレッチで副交感神経をオンに
軽い運動
- ウォーキング、ストレッチ、太極拳など
- 「気持ちいい」と思える程度がベスト
まとめ|寒暖差に振り回されない体づくりを
- 夏と冬では30℃以上の差 → 血流の分布が大きく変わり、自律神経が疲れる
- 寒暖差疲労にはだるさだけでなく、寒暖差アレルギー・寒暖差喘息といった鼻や呼吸の不調も含まれる
- 東洋医学では「気・血の乱れ」ととらえ、鍼灸や整体で巡りを整える
- セルフケアはツボ押し・お灸、そして養生法(服装・食事・入浴・睡眠・運動)が効果的
寒暖差疲労は「仕方ない」と放っておくと、慢性的な頭痛や不眠につながることもあります。でも、ツボ押しや生活養生を続ければ、体は必ず応えてくれます。
小さな習慣を積み重ねて、季節の変わり目に負けない体づくりを始めましょう。
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