雨の日や台風の日が近づくときまって頭痛がする…そんな悩みを抱えていませんか?
中には雨が降っていないのに頭が痛くなってきて、「もしや明日は雨が降るかもな」と思っていたら的中する。そんな天気予報よりも敏感にカラダが教えてくれる方もいらっしゃることでしょう。
この種の頭痛は、雨が降る前の気圧の低下が原因となります。でも、気圧の変化はみんな受けているのに「なんで自分だけ」って思いません?
今回はそのような低気圧による頭痛がなぜ起こるのかについて解説し、具体的な対処法についてお伝えします。
目次
低気圧で頭が痛くなる理由
気圧とは何か
気圧とは空気の圧力、一般的には大気圧を指します。地球を覆う酸素や二酸化炭素などの空気が「大気」です。
空気にも重さがあり、重力と同じように普段意識することはありませんが、私たちが地球上にいる限り大気の重さが身体に一様にのっかっているのです。その圧力のことを「気圧」とか「大気圧」と呼んでいるのですね。
そしてこの大気圧、1気圧=1013hPaという値ですが、実はとんでもなく重たいものなのです。
どれくらい重たいかというと、1㎡あたり約10トンもの重みがのしかかる圧力。身体の上に中型のトラックが載っているようなものなので、普通なら押しつぶれてしまいますよね。その重さに気づかず生活しているなんて、信じられません。
なぜそれほど大きな圧力なのに潰れないのでしょうか。
それは気圧は一方向ではなくてあらゆる方向に向かって圧力が加わるため、身体の外側から押さえつける力と内側から押さえる力が同じだから潰れないのです。
低気圧で頭が痛くなる仕組み
ここで大切なことは、普段は気づかなくても1気圧の力があらゆる方向から私たちには加わっていて押さえつけているということです。押さえつけられているということは、首や頭の骨の節目である関節は気圧によって締まった状態になっています。
上図に示すように、頭の骨はいくつかのパーツに分かれており、その継ぎ目を「縫合(ほうごう)」と呼びます。首の骨も7つありますが、それぞれが関節によって連結され、自由な動きをするようになっています。
実はこの縫合や関節は、圧力がしっかりと加わり骨同士がしっかりとはまり込んでいることが大切なのです。
雨の日や台風が近づいて(本来は逆で低気圧がこれらの原因となりますが)低気圧になると、空気の圧力による押さえが弱くなり、骨同士のつなぎ目である縫合や関節がゆるんでしまいます。
そして、関節が許容範囲を超えてゆるむと痛みがでてしまうという「痛みの大原則」があります。
実際にどうしてズッキンズッキンとした拍動性の痛みが起こるのかという詳しいことに関しては別の記事でご紹介します。
今回ご紹介するポイントは、気圧が低下することによって頭や首のつなぎ目が広がってしまうことが雨の日や台風の日に頭痛となる原因であるということです。
(多くの記事では、血管が膨張して神経を圧迫するから、自律神経が乱れるからという説明で終わっていますが、なぜ血管が膨張するのかの説明がありません)
なぜ低気圧でも平気な人と頭痛で悩む人がいるのか
正常な人は低気圧となり雨が近づいたからといって特別何かを感じることはありません。
ただ昔の人は現代人よりも感覚が鋭いところもあるのでしょうか、敏感な人は非常に原始的な感覚である皮膚の圧覚が働いて感じることができます。あるいは空の具合や風の生暖かさなどから判断できるのかもしれません。
ツバメは湿度が高くなってくるとエサである虫が地面の近くにいるため低空を飛ぶようになります。その点、現代人は結構天候に鈍感なのかもしれません。
しかし、中には天候の変化に敏感な方がいます。それは誰でしょう?
そう。調子の悪い方たちですね。雨が近づくと頭が痛くなる。だるくなる。膝や肩などの節々が痛くなる…天気予報よりも正確に「あ、雨が近づいてるな」と感じることができるのです。いったい何が違うのでしょうか。
天気に敏感に反応する人は、もともとから関節がゆるんでしまっているのです。
頭や首の骨のつなぎ目である「縫合」や「関節」の連結がもともとあまく、緩んでしまっている場合、気圧が下がって空気の押さえつけが弱くなることでその緩みがより強く影響してしまい、許容範囲を超えた時に「痛み」を自覚するのです。
本来「痛み」は危険信号なので、あまりよい状態とはいえません。関節がゆるんでいるからあまり動かない方がいいよ!というカラダの防衛反応なのですね。
関節がゆるんでしまった理由は様々です。
➤極度の疲労により筋肉が働きにくくなって関節が緩む人
➤ホルモンバランスによって関節が開きやすくなる人
➤基礎疾患が原因で関節が開きやすくなっている人
➤けん引治療を受けている人
でも一番の原因は、日常生活や仕事中の姿勢不良やケガです。
低気圧頭痛の予防法と対処法
では、低気圧によっておこる頭痛の予防法はどのようなことが考えられるでしょうか。実際にはこれを読んでおられるみなさんは予防法よりも対処法のほうに関心があるかもしれません。
しかし、予防がしっかりできていれば、今後の頭痛の発生を防ぐことができるので、実は予防の方が大切です。
ただ予防法においても対処法においても大切なことは、「関節ができるだけゆるまない生活をする」ことです。
歩行の習慣
歩きが足りないと関節がゆるみます。「歩行」という行為は人類の最も基本的で生理性を保つ営みです。まずは一日15分でもかまいません。できれば荷物は何ももたずにウォーキングを目的に外にでて歩いてみてください。
犬の散歩などで一緒に歩いたり、ゴルフ場で歩くなどは残念ながら効果がほとんどありません。
ある程度の正しい動作と集中した時間で歩くことが大切です。
どうしても時間がとりにくければ荷物はリュックにして、通勤などの際に駅までは歩くようにするなど工夫をするのはいかがでしょうか。
正しい歩き方や歩行に関するより詳しい情報は、以下の記事をご参照ください。
冷却(アイシング)をおこなう
関節のゆるみは局所の熱を生み、膨張することでさらなる関節をゆるみを助長します。うつ熱は骨や関節の変形、組織のむくみや循環不全の原因となるため、余分な熱は捨てなければいけないのですが、関節がゆるんでいると循環が悪くなるため自分で熱を他へ運んで捨てれず、まさしく悪循環に陥ります。
この時有効なのは、冷却(アイシング)です。患部を氷で冷やすことで余分な熱を取り去り、膨張から収縮へと向かわせることで、血管の流れを損なうことなくゆるんだ関節を引き締め炎症を抑えます。
冷却すると血管が収縮して血流が悪くなるのではないかと思われるかもしれませんが、管が狭まっても流速が速くなるので基本的には血液供給が悪くなることはありません。
また、冷やすと身体に悪いのではと心配されるかもしれません。しかし「冷える」と「冷却」は別物です。「冷え」は機能を弱らせ身体に悪いけれども、「冷却」は破壊をくい止めるため身体に有益です。
冷やす場所は首の後ろです。すこし後頭部にかかるあたりが良いでしょう。日常的に20分程度の冷却は予防となりますし、痛いときに対処法として冷やすのも効果的です。
冷やす場合は、一見便利なアイスノンや保冷剤ではなく、かならず氷を使って冷やすようにしてください。
※冷蔵庫からだしたばかりの氷は凍傷の恐れがあるので、かならず水で洗うか、溶けはじめてから使うようにしましょう。
より詳しいアイシングの方法は別記事にてご紹介いたします。
姿勢や食事に気をつける
関節がゆるむ原因の一つに日頃の不良姿勢があるとお伝えしました。不良姿勢は基本的に楽な姿勢なのでやってしまいがちなのですが、猫背になりやすく頸椎の正常な弯曲である「前弯」が失われてしまい、結果的に首の関節が常に開いたような状態となります。
首の骨は、全体として前に弯曲することによって関節がしっかりと引き締まる形なのですね。だからストレートネックになると首の関節がひらいてゆるんでしまい、首や頭に痛みがでやすく慢性的な肩こりを自覚するようになるのです。
そうならないためには、日ごろの姿勢がとても大切。特に座っているときの姿勢は気をつけるべきです。先述の「歩行」はその日の骨のゆがみをリセットすることにもなるので、良い姿勢を心掛け、歩くことを習慣に採り入れることが重要です。
食事も影響します。添加物の多いもの、脂っこいものや味の濃いものばかりを食べていると身体が熱を持ちやすくなったり、血液の流れも悪くなったり、活性酸素が増えて血管を傷つけて炎症が起こりやすくなります。
身体の中で炎症がおこりやすく、余分な熱をもった状態になりますから、関節はひらきやすくなります。また、飲酒についてもアルコールを分解したときに血管が拡張されやすくなるので頭痛になりやすい原因となりえます。過度の飲酒は次の日の疲れとして残りますから、連日飲んでいる方は疲労によって関節はゆるんでしまいます。
食べ物の量や質や飲酒の量などを見直してみてくださいね。
東洋医学的には「湿」や「気滞」が原因
これまで「関節のゆるみ」という解剖学的な原因の話をしてきましたが、東洋医学的にみた場合に、気圧低下による頭痛はどう捉えるのか、ということについて解説します。
低気圧時に頭痛になりやすい方は、東洋医学的にいえば「湿」がからんでいます。「湿」というのはとりあえずのところ、身体の流れを停滞させてむくみなどを引き起こす余分な水分の代謝異常であると思っていただくとわかりやすいと思います。「痰湿」などとも言ったりします。
冷えて「湿」がたまる「湿寒」タイプの人と、熱を帯びて「湿」がたまる「湿熱」タイプの人がいますが、前者は冷え症で胃腸が弱くむくんでしまう人であり、後者はお酒や脂っこいものや味の濃いものが好きで身体に熱がたまりやすく水毒に陥る人です。
また、気圧が低下して雲ができ雨が降ると空気中の湿度が増えて皮膚からの蒸散も減り、身体の水分が逃げにくくなることも一因です。
このようにしてカラダに溜まった水の代謝をよくするには、基本的には脾の働きが関わっています。もちろん、汗や呼吸で水分を調節するには肺の働きが関わっていたり、おしっこをたくさん出すことで余分な水分を逃がすために腎の働きが関わってきますが、だるさやむくみなど水分代謝の異常は「脾」で解決することができます。
関節がゆるむとその部の流れが悪くなり停滞します。当然関節の間や組織の間にも水が溜まってもむくんでくるわけです。そこで、、水はけを良くしてあげることでむくみを減らし、ゆるんだ関節が元の機能を取り戻せるのではないかという逆の発想によって治療を行います。
要するに、東洋医学的に改善していくためには、まず水の停滞であるむくみをとってあげることであり、その分関節がしまりやすくなります。
もう一つ考えられる原因は、「気滞」です。
イライラすることがあったり、思い悩むことがあったり、日々ストレスや疲れを溜めていたり、よくため息がでてしまう、無口の人などは、自分の内側に色々とため込みやすい性質があるので、気の流れが悪くなってしまいます。
また、運動不足の人はこの傾向があり、パソコン業務で同じ姿勢でかたまってしまっている人、普段歩くのが少なくて移動は車や電車ばかり、最近多くなった在宅ワークの方などにもみられる傾向です。
身体を動かすことが少ない分、気や血を巡らせる力が弱まり、「気滞」の状態に陥ってしまうのです。
リラックスする時間を作ったり、一日少しでいいので運動をして筋骨を伸びやかにし、気血を巡らせてあげましょう。
自宅でもできる、その場で足踏みをするだけの「その場ジョギング」を1分だけする、というのが無理なく続けられるので、おすすめです。心拍もあがるので、結構いい運動になりますよ!!
雨の日に気圧が下がって関節が開きむくみがでてくると、よけいに滞ってしまうので、症状をより自覚するようになります。もともと冷え体質の人も巡らせる力が弱いので、梅雨などの時期に暑いからといって、冷たい飲み物を摂るのも要注意ですね。
このような方は、朝起きて一番に、白湯を飲む、温かいお湯を胃に一番最初に入れてあげる習慣とつけることで、胃腸が温まり、全身が冷えにくい身体となっていくので、おすすめします。
このように、食事の面や運動、冷えを対策して東洋医学的に原因を排除していけば、「低気圧頭痛」を良くすることが可能です。
雨の日頭痛に効くツボ!
さて、おまちかね!
実際に雨が降ってきて頭が痛くなってしまいました。
そんな時におススメのツボは、豊隆、陰陵泉、太衝、手三里、天柱です。
豊隆(ほうりゅう):すねのやや外側。膝と足首の中間。
陰陵泉(いんりょうせん):脚のうちがわ。すねの骨の内側をさすって上がり、骨の隆起にぶつかる手前の凹んだところ。または、膝内側のくぼみから指四本分下のくぼみ。
手三里(てさんり):肘を曲げた時にできるしわの外側に人差し指をおいて、指三本分。薬指があたるところ。たいてい押すとビーンとひびく。
天柱(てんちゅう):後頭部と首の付け根。頭に手をあてて親指があたるところ
太衝:足の甲で、親指と人差し指の骨が交わるところから、少し指先の方へ降りたところにとります。
豊隆は、「痰湿」を取り去るツボです。
陰陵泉も身体の余分な水分を捨てる働きがあり、「脾」の水分代謝を高める作用があります。
手三里は、肩や首の症状にも効き、鼻がつまっている場合にも効果的です。意外と鼻づまりで頭痛になっている方は多いのです。
天柱は、頭痛によく効くツボです。押しすぎに注意しましょう。押しながら首を前に動かしたり後ろに動かすのも気持ちがいいですが、やりすぎると首を傷めます。ほどほどの圧でゆっくりじんわり押しましょう。
太衝は、気の滞り(気滞)を解消するツボなので、雨の日に気や血の流れが悪くなって不調になる方にオススメのツボです。
今回ご紹介したツボは、手で押すのもよいですが、市販のお灸をすえるとより効果的です。天柱は髪の毛がありお灸しにくい場所なので、手でツボ押しするのがよいでしょう。
火の扱いに注意して、気持ちいい程度にお灸をしてみてくださいね!
まとめ
気圧が下がることで誘発される頭痛は、もともと首や頭のつなぎ目である関節や縫合がゆるんでしまっている方に起こりやすいというお話でした。気圧のおさえつけが効かなくなることにより、もともと緩い関節がよけいにゆるくなり痛みがでてしまうのです。
そのため、気圧が下がって雨や台風が近づくと頭痛がするという訴えをよく聞くのですね。
日常の予防や対処法として、生理歩行のご紹介や頭頸部の冷却方法、白湯を飲んで冷えをとったり、1分間の「その場ジョギング」、ツボを使った解消法をお伝えしました。是非自分に合ったものを1~2つ選んで、無理なく実践してみてください。
ゆるんでしまった関節には、実はズレも生じています。根本的なズレ(関節の位置の異常)は歩行や冷却によっても改善が難しい場合もあります。ただ、ゆるみや炎症は抑えることができるので、効果的です。
根本的なズレを改善して安定させるには治療を受ける必要があります。もし上記の方法を続けてみてもっと良くなりたい、とお考えになった場合は当院にご相談ください。
鍼灸・接骨院 白澤堂HAKUTAKUDOU
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