夜寝ようとすると足が火照って眠れない…
足のほてりで悩む方も一定数いらっしゃるので、記事としてまとめておきます。
目次
夜中に足がほてるのはなぜ?!
詳しい原因は次の章で解説しますが、まず大前提として考えられるのは血流です。
足は、心臓から一番遠くにある部位に位置します。
血管や内臓の病気、自律神経失調などにより血流が悪くなると、安静にした時に一番遠くにある血液を回収できず、横になって筋肉を休ませたときに循環がストップするため、足先が熱く感じるようになるのです。
熱は尖部から抜けていく、
ということをご存知でしょうか?
新しい線香の先端は円柱形ですが、火をつけてしばらくすると円錐形となります。
この円錐の形が一番効率よく熱を排出する形状なので、自然と線香は円錐の形になります。
人間の身体のなかでこの働きをするのは「指」です。
熱は先端から抜けていきやすいため、本来なら、就寝する時には手足からうまく放熱していかなければなりません。
心臓から遠い足先の血液の循環が滞留してしまえば熱がうまく抜けてくれず、それでも熱は先端から抜けようとするためその場でうつ熱し、結果足先が熱く感じてしまいます。
足先に枕をひいて、若干足を高くして寝ると少しマシになる、とおっしゃる方もいます。これは、足先の血液が心臓に還りやすくなるからでしょう。
足が熱く感じる西洋医学的な原因について
足の血流の問題を最初に書きましたが、足が熱く感じる原因には血流以外にもいくつか考えられます。中には医師の診断が必要な場合、危険な病気が潜んでいることもあるため、まずは病院などの医療機関で相談されることをお勧めします。
足が火照って眠れなくなる原因を、以下でまとめてみます。
①むずむず脚症候群(レストレスレッグシンドローム)
就寝時に足がほてり、動かしたくてたまらない衝動とともに不快感を覚える。
眠ろうとすると脚がむずむずと不快になる。
▶ドーパミンの働きなどが関わる。慢性腎臓病や鉄欠乏性貧血も二次的に関わる。
飲酒やカフェインを含む飲み物、喫煙は症状を悪化させる
▶糖尿病でもおこる
▶鉄分不足、妊婦、女性、遺伝
②糖尿病
糖尿病によってもむずむず脚症候群となることがある。手袋靴下型神経障害(ニューロパチー)により、足先のしびれや痛み、ほてりなどの異常感覚も含む。手袋靴下型神経障害は、初期は足先からはじまるため(最も長い神経から傷害されてしまう。そのため手の感覚異常は後から出現する)、糖尿病によって起こる可能性も少なくはない。
特徴としては、両足とも同じ程度の神経障害が発生する。
高血糖によって神経・血管が損傷するため、両足の異常感覚があるなら、まずは糖尿病がないか医療機関を受診すべきである。
③バージャー病(閉塞性血栓血管炎:TAO)
これも怖い病気である。末梢閉塞性動脈疾患と呼ばれ、20~40歳の男性(女性もまれに)で、喫煙者に発症します。症状として、冷感、しびれ、チクチクする感覚または灼熱感、痛みなどの異常感覚が手や足の指先から始まり、腕や脚へと昇っていく。腕よりも脚がよく侵され、喫煙を続けると例外なく悪化し切断が必要になることが多いので注意が必要である。
④腰部の神経障害(ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎症)
これらの場合、片側性が多い。つまり片側だけに症状が起こりやすいが、両側性ももちろんあり得る。基本的には、いずれも立位や歩行時、運動時に症状が増強しやすい。安静時や夜の就寝時だけに症状がでることは考えにくいが、ゼロとは言い切れない。
⑤自律神経失調症(更年期障害)
40~50代の閉経を迎える頃の女性に多いが、もちろん男性にも起こりうる。
ほてり、のぼせ、冷え、動悸、不眠などの睡眠障害、頭痛、不安、うつ、イライラ、筋肉量の低下、
めまい、耳鳴り、呼吸困難、発汗、全身倦怠感、頻尿、性欲低下、勃起力低下、物忘れ、ひげが薄く
なるなどの体毛の変化、ドライマウスなどの随伴症状があるかどうかを考慮する。
自律神経は血管の収縮拡張や、体温調節なども司っているため、足がほてるという症状とも関係する場合が多い。
※脳の異常興奮について
デフォルトモードネットワーク(DMN):何もしていない、ぼんやりしているときの脳の神経活動のこと。脳は何も考えていないときの方が活動してしまう場合がある。こうした脳の異常興奮状態の場合、前部帯状回や前頭前野の働きが崩れ、痛みや異常な感覚をずっと脳で記憶してしまうことがある。いわゆる慢性痛のような状態。
就寝時に周囲の刺激がなくなった時に、脳DMNの異常興奮が発露し、足のほてりを感じているとも考えられる。
⑥甲状腺機能低下症
全身の機能低下から、むくみが起こって、足の火照りを感じることがある。症状としては、やる気がでなかったり、常にだるい、むくむ、食べていないのに太ってしまう。
⑦足根管症候群
足の裏かつ足のかかとより先にでる感覚異常であれば、疑う。ただし両側は少ない。チネル兆候陽性。
⑧薬の影響
SSRIなどの選択的セロトニン再取り込み阻害薬といった抗うつ剤による自律神経症状など。
⑨その他
下肢静脈瘤や蜂窩織炎、過労など。
以上が西洋医学的観点からの、足のほてりの原因です。このなかでも多いのが、むずむず脚症候群、そして自律神経失調症であると考えられます。
立つことが多い人や久々にたくさん歩いた、など足の過労によっても起こることがあります。この場合はしっかり休めて、マッサージなども効果的です。
足が熱く感じる東洋医学的な原因
次に、東洋医学的な観点からはどのような原因が考えられるでしょうか。みていってみましょう。
①陰虚(いんきょ)
陰虚とは、陰の成分(身体を滋養し、潤し、冷やす)が減ってしまった状態です。身体には陰気と陽気というどちらも大事なエネルギーである気が調和することによって、平衡が保たれています。
身体を温める成分である陽気が少なくなれば身体は冷えてしまいますし、
逆に身体を冷やす成分である陰気が枯れれば相対的に陽気が多くなって身体は火照ってしまいます。
陰の成分とはつまり、「身体を潤す水」のような役目だと考えてみましょう。東洋医学では「津液(しんえき)」と言ったりしますが、潤す水が少なくなると、皮膚はカサカサ、喉は渇き、身体の中がうつ熱して、その熱が頭や手足など身体の先端部分に溜まるため、そうした余剰で不快な熱によって、手や足の裏が熱く感じるようになります。これらに合わせて、寝汗を伴うことが多いです。
治療は、陰を補うように治療をしますが、養生としても早く寝ることや味の濃い物辛い物などを控えたり、過労しないこと、ストレスを減らすなど、生活を見直すことも必要となってきます。
②陽虚(ようきょ)
陰虚の正反対にある陽虚(ようきょ)が原因になってしまうこともあります。
陽虚とは、陽気つまり温める成分が減ってしまうことによって、身体が冷えてしまうことです。
なぜ冷えることで、足が熱く感じるようになってしまうのでしょうか?
答えは冷えることで、身体の血流を巡らせる力が弱っているため、冒頭で説明したように本来なら心臓に戻るべき足の血流がもどらないため、足が熱く感じてしまうからです。
治療は、身体が内側から温まるようにし、血流を改善すること。身体の機能が回復するように食事や運動、睡眠を見直すことが必要です。
③肝と腎が関係しやすい
もうひとつ、東洋医学の観点からいえば、肝と腎が関わりやすいといえます。
東洋医学で、肝は血をスムーズに運んで流してくれる働きをしていると考えられています。肝の気が減ってしまったり、滞ったりすると血液の流れが悪くなり、足がほてってしまうことが考えられます。
さらに、腎は足腰の症状と関係します。足腰の力が弱ると血流も悪くなり、水と関わりが深いのでむくみにも関係します。循環不足によって、足のほてりにつながることもありえます。
また、上記の①陰虚(いんきょ)のところでも述べたように、水が少なくなる陰虚のメインは腎が関係するため、腎の水を司る能力が弱った場合にも、陰虚に陥り、冷やす力がなくなって足のほてりと関係します。
足のほてりを治すには
まずは医療機関を受診しよう
自律神経失調症であれば生活を見直したり、ストレスを減らすことで対処できますが、上述した足のほてりの原因の中には糖尿病をはじめとする危険度の高い疾患が隠れていることもあるので、まずはそれらの疾患の可能性を除外しましょう。
生活を見直そう
養生として、生活を見直してみましょう。もともと寝づらい症状なので、睡眠を充分にとるのが難しいかもしれませんが、眠る時間が不規則でないか、また遅くないか見直してみましょう。遅くても23時には寝床に入っていることが望ましいです。
食生活が偏っていないか、運動が不足していないかも重要なポイントです。もちろん血液の巡りにも関係しますし、自律神経の働きにも関わります。
嗜好品を見直しましょう。アルコールやカフェインの過剰摂取を控えましょう。お酒も身体に熱を生むので、ほてりやすくなります。また、たばこは酸欠になりやすく、末梢循環障害にもつながるため、足の火照りにも直接関わってしまいます。
ストレスの多い環境にありませんか?緊張が多いと交感神経優位となり、末梢循環にも影響します。自律神経は体温調節にも関わるので、ほてりなどの症状にも結びつきます。
ふくらはぎのストレッチやマッサージをしよう
足をあげて寝ると少し楽、という方はふくらはぎや足を軽くマッサージしたり、ストレッチを継続してみましょう。足の筋肉の疲労がとれるだけでも症状が緩むかもしれません。
軽くふくらはぎを握るようにして、下から上に向かってマッサージします。立ち上がり、踵を押し出すようにして、ふくらはぎのストレッチをしたり、立ち上がって踵を挙げたり降ろしたりして筋肉をポンプのように動かしてみるのもよいでしょう。
※下肢静脈瘤がある方は、マッサージはしないでください。静脈の弁がよけいに壊れて炎症が起きて症状が悪化したり、最悪の場合、血栓が飛んで肺塞栓する可能性があります。
就寝の少し前に入浴することで、足のほてりを抑える効果があるので、試してみてください。
自律神経失調症の治療なら「鍼灸」がオススメ!
自律神経失調症の場合、「はりきゅう」施術がオススメです。
副交感神経優位になり、脳の前頭前野などの働きを落ち着かせ、神経の高ぶりを抑えてリラックスした状態にしてくれます。
はり灸にも様々なやり方があり、刺さない鍼などもあるので、まったく無痛で施術してくれる治療院もあります。近くの鍼灸院に問い合わせてみましょう。
足のほてりに関係する漢方
漢方薬も、足のほてりに関わるものがあります。漢方薬局などに相談し、処方してもらうのもよいでしょう。
三物黄芩湯(さんもつおうごんとう):陰虚湿熱による四肢の煩熱に用います。つまり、熱をコントロールする力が不足した場合に用います。産褥熱などに用いられるため、婦人に対して処方されることが多いですが、身体にこもった熱を冷ますので、更年期障害や自律神経失調症にも使うことがあります。
温経湯(うんけいとう):貧血と冷え症で気も血も不足し、元気が衰えた方に用います。下半身は冷えるけれども手や足がほてる方に。唇の乾燥、更年期障害、不眠、しもやけ、足腰の冷え。
京都市東山区三条の鍼灸・接骨院 白澤堂HAKUTAKUDOU
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