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どうしてあなたの肩こりはいつまでも良くならないのか
肩がこりやすい人もいれば、肩こりがまったく分からない人もいます。
肩こり自体は、ストレスや緊張が続いたり、自律神経の緊張、同じ姿勢での作業や、スマホやパソコン画面の見過ぎによる眼精疲労、運動不足や冷えによる血行不良など、人それぞれの生活や職業によって変わってきます。
でも、同じように仕事や家事をしているのに肩こりがある人とない人がいる…
そうした違いはどこからくるのでしょうか?
肩がこってなかなか解消しない。マッサージでほぐしてもその時だけ・・・
肩がこりやすくてなかなか良くならないのには、ある原因があります。
危険な肩こりがあるので注意しよう
肩こりの原因のお話の前に、危険な肩こりがあることも頭の片隅においておきましょう。
肩こりだと思っていてマッサージを繰り返していたら、背景に疾患が隠れていて手遅れ…ということにならないように、たかが肩こりであってもしつこい場合は病院で検査を受けておくことが大切です。
肩こり症状を伴う疾患には、たとえば以下のようなものがあります。
高血圧・心疾患(狭心症や心筋梗塞)・肺癌などの癌・神経や血管の圧迫・椎骨動脈乖離・クモ膜下出血の前兆など
普段と違う肩こり、階段を昇ると息切れがしたり、しびれを伴ったり、じっとしていても肩こりがあったり、なにをしても治らずしつこい肩こりなどはすぐに病院にいきましょう。
肩こりの原因
上述の危険な肩こりに関連する疾患がないのに、肩こりがなかなか治らない人は、首の骨(頸椎)を含めて背骨が歪んでしまっていることが原因です。
骨が歪んでいるというと誤解を招きます。骨の変形の場合、治すことはできないでしょう。
より正確に言い換えると、関節が適切な位置からズレてしまっていることが原因です。
図で考えてみると分かりやすいと思います。簡潔にではありますが、テントの理論と呼称して説明していきます。
まずはテントの支柱を地面に立て、その両端からテントの支柱を張力によって支えるヒモを考えてみます。
テントの支柱を背骨、ヒモを筋肉と置き換えて考えてみてください。
正常な場合、テントの支柱はまっすぐ立ち、ヒモの張力は左右一定です。
大切なのは、支柱の下にある青丸で示す「支点」にご注目ください。
もし、テントの支柱の支点(青丸)が左にずれてしまったら、支柱は傾きます。
支点がずれることは、体に置き換えると「関節のずれ」であり、支柱の傾きは「背骨の傾き」ということができます。
人体にあてはめて考えてみましょう。
関節の位置ずれがあれば、背骨(頸椎)は傾いてしまいます。
体は傾いた状態をできるだけまっすぐにしようと、筋肉を働かせて、みかけ上、首をまっすぐに補正しようとします。
支点(関節)はずれたままですが、左側の筋肉が頑張って支柱をひっぱってくれているおかげで、見かけ上支柱(背骨)はまっすぐになります。しかしその結果、左側の筋肉は短縮し、右側の筋肉は引き伸ばされた状態となります。
見かけ上まっすぐにはなっていますが、関節という支点がずれたままで長期間放置していると、この状態が固定化されてしまい、筋肉が収縮することで支柱をまっすぐに立てている側(図の左側の筋肉)を「短縮固定」、支柱がまっすぐになったことで引っ張られ伸長された側の筋肉(図の右側の筋肉)を「伸張固定」と呼びます。
短縮した側の筋肉は常に支柱が倒れないように綱引きをしているような状態です。もちろん疲れますよね。
逆に伸張された側の筋肉は支柱に引っ張られてしまうから、切れないようにこちらも頑張るわけです。
このようにして、筋肉に疲労がたまり、弾力性が失われ血流障害も伴って肩こりが起こるようになります。
余談になりますが、もし何も考えずに、引っ張られた側(図の右側)の筋肉をマッサージなどで揉んでしまうと、引っ張られていたところを押すのでよけいに引っ張ってしまいダメージが大きく、「揉み返し」がでたり、より不調がでてしまうことがあります。
どちらにしても、どの筋肉をマッサージで緩めたとしても「関節の(支点の)ずれ」が戻されないかぎり、支柱は傾こうとするので余計な負担が筋肉にかかってしまい、
永久に肩こりが解消することはありません。
あなたの肩こりがいつまでたっても改善されない理由は、関節のズレ(支点のズレ)が改善されていないからです。また、普段肩こりがある人は、肩こりのない人に比べて関節のズレの程度が大きいということがいえます。
腰が歪んでいても肩がこる
肩こりは、首肩だけの問題ではありません。
上図をみていただくとわかりやすいと思いますが、腰の関節がズレたり歪んだりすると、その上にある構造すべてが歪んでしまいます。
たとえば、地震などで高層ビルの地上一階が傾いてしまったなら、その一番上にある頭や首の部分は最も傾きが大きいことが容易にわかります。
腰の歪みが、長年かけて肩首の歪みをつくってしまいます。
しかも、基本は図のようにジグザグに傾いていきます。ジグザグに傾かないときは、異なるケガが重なった時や、体の防衛反応としてこれ以上傾きを中枢である心臓や脳に伝えないよう食い止めるためにジグザグの壊れ方を崩して身体を守る場合です。
なぜジグザグになるかといいますと、
すべて同じ方向にズレてしまうと、重力線からの偏心が大きくなってしまうため、自由エネルギーを最小化するために自然とジグザグの崩れ方をとるからです。私たちは地球上で重力に逆らって直立しているためですね。
そのためよっぽどでないかぎり、見かけ上大きく傾いているようにはみえません。しかし、腰の歪みの影響は確実に上部の肩や首に影響を与え、肩こりだけでなく頭痛やめまいなどの症状と結びつきます。
つまり、肩こりも、首や肩を施術するだけでは治しきれない場合がある、ということです。腰から治していかなければならないということも明記しておきます。
肩こりの治し方
肩こりの原因として、関節の位置異常(ずれ)が大きな因子であるといえることを述べました。
では肩こりを治すには関節のズレを戻さなければならないということになります。
どのようにして関節のズレを治せばよいのでしょうか?
関節のズレは圧力を加えれば整う
ズレてしまった関節を戻すには、ズレた方向と逆方向に押してあげることが一番に思いつきます。
なので、首や肩の骨を一個ずつ触って、ズレてしまった方向と逆方向に力を加えてあげればよいのです。
でも、それって可能でしょうか?
ある程度は可能かもしれません。なぜなら、レントゲンを撮らずとも徒手による検査によってズレた方向はある程度推察できるからです。
しかし、どの程度押さえればよいのでしょうか?
もし強く押しすぎれば反対側にズレをつくってしまうことになりますし、
押すのが弱ければズレをとりきらないままに終わります。
さて、こまりました。
関節をひとつひとつ治すとなると、ちょうどいい方向に、ちょうど具合に押さなければ戻りません。
そもそも、骨を押せば関節は元の位置に戻るのでしょうか?
答えは、押してもなかなか戻ってくれません。
強い力を加えると、「筋性防御」といって、筋肉が瞬間的に緊張してしまうため、関節はその時点で動かなくなってしまいます。誰だって、強く押されたら無意識に力が入ってしまうものです。
そうなると、筋性防御が働かないほどの瞬間的な力を加えるしかありません。しかし、どの程度関節を押せば良い位置に戻ってくれるのか、という問題は残ったままです。
関節を戻すためには、一見うまくいくように思えるズレた方向と逆方向に押すという方法が現実的ではありません。
ではどのようにして戻せばいいのかというと、関節の特性を利用して戻せばよいのです。
関節内部には関節液という潤滑液で満たされています。
この液体があることで、関節は滑らかに滑ってくれます。
滑りをよくすることを「潤滑」といいますが、関節の潤滑を最大発揮させるには、圧力が必要ということです。
関節面どうしがピッタリとあうような方向(軸)に対して、わずかな圧を加えてあげると、関節面間の潤滑液が働いて、ツルっと勝手に滑って動いてくれます。
ちょうど、バナナの皮を踏んづけるとステンとこけてしまうアレです。
関節がどの方向にズレているかはあまり関係ありません。
関節の面と面が合わさるように上から「軽く」押してあげるだけでいいのです。
この「軽く」が大切で、強く押さえてしまうと先ほどお伝えした周りの筋肉が緊張して抵抗しようとする筋性防御が邪魔してくるので、関節は動かなくなります。
なので、関節のズレを治す方法は、
関節の面どうしが合わさる方向(関節の軸)に対して軽い力を持続的に加えてあげる
ことが正解です。
関節が勝手に滑ってくれるので、行き過ぎることはありません。関節どうしがちょうど合わさるいい位置まで勝手に動いて、勝手に止まってくれるからです。誰かが治してやろうという意図が入る余地がありません。関節が自然に動くだけです。
関節に圧力を加えて肩こりを解消するにはどうするか
肩や首の関節に適切な角度で適切な圧力を加えるのには訓練が必要です。そのため、どちらにしても自分で対処するのは難しく、関節に適切な圧力で施術をできる専門家に治療してもらうことが最善です。
首や肩・背骨の関節に自分で圧力を加えようとすると自分の手を使わざるをえないため、力が入ってしまうのでうまくいきづらいとはいえます。
しかし、続けることで自分で行うセルフケアによっても充分肩こりの解消ができることもお伝えしたいのでぜひこれからご紹介する方法を試してみてください。
その場で変化を実感できることと思います☆
自分でおこなう肩こり解消法
肩・首手当て法
写真のように、首の後ろ、左右の肩という順番で、手の平で包むようにして軽い圧を加えます。圧の加え方は手の平で把握した部分の全周をつつむようにして軽い持続圧を加えるというものです。
できるだけ均等に圧を加えるよう意識してみてください。(強く押さえる必要はありません)
指先部分の圧力がどうしても少なくなりがちなので、左右均等にするため、首の後ろは右手で行ったら、左手でも行いましょう。
ココで注意があります。
●指先では掴まないこと(手の平と指の付け根くらいの間で行います)
●何回もやらないこと(1回だけ行います。何回も行うと血管の反射でふらつく場合があります)
●軽くやさしく行いましょう
※もっともっととやってしまうと逆に必ずしんどくなります。自己責任でおこなってください。
関節だけでなく、筋肉も圧力を加えてあげることで、筋肉をつつむ膜や、筋肉の繊維間の滑りにくさやよれが解消され、伸び縮みしやすくなるので勝手に柔らかくなってくれます。
氷で冷却する
首こり・肩こりを解消するもっとも安全でもっとも適切・効果的なセルフケアはなにかというと、「アイシング」です。
このようにいうと、「冷やすの?!」と驚かれるかと思いますが、本当に楽になります。だまされたと思ってやってみてください。
実施上の注意点を列挙します。
・必ず氷をつかいましょう。アイスノンは効果がないうえに凍傷のおそれがあります。
・冷凍庫から出したばかりの氷をつかうと凍傷のおそれがあります。水で霜を落としてから使うと安全です。
・アイスバッグ(氷のう)などを使いましょう。ビニル袋でもできますが、漏れるおそれがあります。
・患部に直接当てます。タオルなどを挟みません。
・一度に冷却する場所は2カ所まで。
・身体が冷えないように暖房や衣服などで暖かくして患部だけに行います。
・20分以上冷却します。(糖尿病の方は手足や指など末端は冷却しないようにしましょう)
首の後ろ、肩の後ろを氷で冷却することで、結果的に関節に圧力を加えることができます。
冷却されたところは組織が収縮しますし、関節液の粘度も高まり潤滑性も高まります。
冷却することは、患部に手をあてて圧力を加えているのと同じ事になります。
冷却した後、温度が戻ってくる時に新しい血液が流入しますので、組織に酸素と栄養が運ばれ、痛みを感じさせる物質や疲労物質・老廃物が流されます。
特に、雨の日の低気圧などの時に頭痛や肩こりなどを自覚する方にはオススメです。
冷却(アイシング)の詳しいやり方・意味などは以下の当サイトのブログを参照ください☆
ペットボトル自力整復法
ペットボトルを使って自分で圧力を加える方法です。
ただし、図のような姿勢がとれない方は、逆に悪化するおそれがあるのでやらないでください。
壁に背中をあてて立ち、踵、お尻、肩甲骨の間、頭の後ろを壁にできるだけつけて、顎をやや引きます。
この状態で500mlの水がはいったペットボトルを頭のてっぺん(両耳を結んだラインの上くらい)に置いて、立ちながらしばらく呼吸します。
この方法は実感しにくいですが、
自然に荷重が関節にかかるので首や肩の関節のズレがある程度解消されます。
顎が前に突き出た姿勢や、背中が丸まった姿勢では実施しないようにしてください。
これは、アフリカで水瓶を頭に載せて運搬する砂漠地帯の人々の疫学調査で、首の疾患が非常にすくないことからの関連で健康法として応用したものです。
最大30kgほどの水の入った壺などを頭の上に載せていながら、スラッと細長く生理的な弯曲をした健全な首でいられるのです。
これは、冒頭で説明したように、水の入った瓶の重量により頭の上から重心線に沿った適切な荷重が首や背中の各関節に加わるので関節の歪みが自然に整復され、彼(彼女)らの首のズレは解消されているからです。
ただし、水の入っていないものは頭の上に載せてはいけません。
硬い固形物は傾いたときに、水のように重力にあわせて動いてくれませんから、首に対してあらぬ方向へと荷重がかかってしまうだけなので、逆に傷めてしまいます。
最近では、首を傷めた時にコルセットを巻いて荷重をかけなくするよりも、頭部からの重力が頸椎にかかっていたほうが早く治るということが医学的にも分かってきているようです。
まとめ
如何でしたでしょうか。
同じような生活をしていても、首肩のこりやすい人・こりにくい人の違いがあるのはこうした理由からです。
こりやすい人の関節には歪みがあり、周りの筋肉はその歪みを補正しようと強制的に働かさせられるために疲労がたまりやすく、慢性的な痛みやこりを自覚します。
関節の支点のズレが戻されないまま、周りの筋肉のマッサージを繰り返すだけなので、また数日後には元に戻っているという状態を繰り返しているのです。
なぜ歪んでしまうのか、ということについてはまた別記しますが、基本的には悪姿勢や過去のケガによります。
関節の歪みを根本的に正すには、専門的な施術を受ける必要がありますが、自分でできる安全な方法としてはアイシングを一番オススメします。
余分な熱エネルギーを排除して破壊を食い止め、新しい血液が流入して組織を栄養すると同時に老廃物を洗い流し、関節の潤滑性を高めてよい循環をつくることができるからです。
ぜひ、アイシングのブログもご一読ください☆
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