こんにちは!
京都東山三条の
鍼灸・接骨院 白澤堂HAKUTAKUDOU
院長の長濱です。
当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
今回は秋の養生法をご紹介します。
1.陽消陰長、滋陰潤燥
秋の期間は8/7或は8/8の立秋から、11/7前後の立冬までの3ヶ月間。立秋、処署、白露、秋分、寒露、霜降の六節気となります。
猛暑の夏も終わり、盛んであった陽気が衰退し、徐々に陰気が伸び始めるとともに、一日の中でも日中と朝夕で寒暖差がでてきます。特に、六節気の中では秋分が気候の転換期となりますので、季節の変わり目に備えて体調に注意する必要があります。
秋になると、陰気が長じて、万物は収斂(絞ってあつめる)するため、人々も収斂の気に合わせて過ごすのが良いとされています。
植物に例えれば、夏の強い陽射しから実を守っていた葉はすでに必要なく凋落し、実の方にエネルギーをぎゅっと閉じ込めて、成熟する時期です。成熟するということは、成長が止むということです。秋季は収穫の黄金期ですから、人においても、秋には少しペースを落として夏に盛んに活動して結実した物事の総括をする時期であるといえるでしょう。精神状態においても、やや鬱傾向に陥りやすい時期ですので、そのような時に頑張ってはいけません。万物の気が収斂するのに合わせて心身を落ち着けて陰気を養うことが大切です。
《黄帝内経素問・四氣調神大論篇》にも、秋の草木を枯れさせる粛殺の気に対して抵抗するのではなく、心を外にはたらかせず安寧にすることで、人体への悪影響を緩めることが大切であると説かれています。そのため、秋には日没とともに早く寝て、睡眠時間をしっかりとって身体を休める生活が大切です。
徐々に陰寒の気が生まれて冷涼の気候となり、雨は次第に減り、空気が乾燥します。そのため、秋は燥を主るといい、肺臓と関わりが深い季節です。何故かといえば、中医学において肺は呼吸と皮膚と体毛を司るため、冷涼で乾燥した秋の空気の影響を真っ先に受けてしまう華奢な内臓だからです。
天地の間に乾燥の邪気がはびこれば、口渇しやすく肌が乾燥し、乾性の咳が流行り、悪化すれば痰がからんで長引きます。この時期喘息の症状で困る方も多いのです。筆者も秋分~寒露あたりの節気に油断して風邪をひくと咳がとまらなくなり、肌に蕁麻疹がでて数年間悩まされたことがあります。ちょうど疲れが貯まって、秋になっても無理をしていた時期ですから、夏の暑気の疲れがドォ~っとでたのでしょう。くれぐれも、この時期無理なさらないよう、読者の皆様もご自愛ください。
また、大腸についても述べておきましょう。大腸は、肺と表裏の関係にあり、津液の津に相当するものが吸収されるため水液と関わりが深く、陽明の燥金が主るので、乾燥の影響を受けると便秘になりやすいのです。
以上が秋季に特徴的な症状でした。対策としては陰を滋養し乾燥を防ぐ。つまり加湿器で湿度を適切に保ち、水分補給をこまめに行い、無理せず休んで疲れをためない工夫をして陰気を養います。乾燥の症状がひどくなったら、白粥を炊いて重湯を飲んだり、大根や蓮根、胡麻を食すと潤す作用に長けているので、おすすめです。
2.少辛多酸、補養肝気
次に、秋の食養生についてのお話です。酸味を多く摂り、辛味を少なめに摂るというのがポイントです。
秋に酸味を摂るべき理由は、一つには酸味が収斂の作用と潤す作用の両方を兼ね備えるからです。酸っぱい梅干しを見ただけで唾液が口の中を潤しますし、食べると酸っぱさで口をすぼめて縮めてしまう様を想像するとわかりやすいかもしれません。二つ目には、酸味は秋に弱りやすい肝気を助けるので、バランスをとる作用があるからです。ですので、梅干しや酢の物を食事に採り入れるとよいでしょう。
そして、辛味を少なめにする理由は、辛味が発汗発散の作用があるため、収斂の秋の気に対して逆らってしまうからです。精気を内に集め五臓を養わなければならないのに、発散させて漏らしてしまってはいけないということですね。しかし、辛味は発汗するといえど温める作用がありますので、気温の低下に少し食してよいかもしれません。葱や生姜や唐辛子が辛味に入ります。特に、ショウガは冷え性の方によく勧めるのですが、秋は気をつけないといけません。ご自身の体質や様子をみて量を調節してみてください。
節気の一つ、霜降(そうこう)を過ぎれば、気温が急に下がりやすくなり、気候と人体の生理変化に伴って、飲食も見直す必要がでてきます。《素問・至真要大論》中にも、
甘先入脾。(甘は先ず脾に入る)
とあるように、甘味は食べると先ず脾を養います。五行(木・火・土・金・水)の中で脾は土に属し、土は金である肺を生かしますので、甘味が脾と肺を潤すのです。甘味であっさりしたものが良いので、梨、柿、もやし、白キクラゲ、百合根などが潤肺の作用があります。多くは身体を冷やすので、梨は少し加熱したり、柿は干したり、百合根も茶碗蒸しなどにして食すとよいでしょう。
3.さいごに
物事の移り変わりは時に寂しさを想わせることがありますね。栄枯盛衰。栄えていた者の、その華麗で剛健であった気性も次第に衰えをみせ、次代へと受け継いでいく準備を始めます。秋の粛殺の気は、夏に最も成長を果たして栄華を誇った陽気をなだめすかし、万物を閉蔵する冬へと連れて行く役目があります。
その一方で、秋風が吹き、秋雨が降り、徐々に樹々が花や葉を凋落させてしまうのですが、その前に最期にもう一度、紅葉という形で、花とはまた違った魅力で色鮮やかに魅せて散ってゆきます。また、実りの秋というように、味覚としても楽しませてくれる季節でもあります。
これからも、このような自然の絶妙な趣を感じられる秋であればいいですね。
鍼灸・接骨院《白澤堂HAKUTAKUDOU》
コメントを残す