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夏の養生法~夏バテ予防と食事~

こんにちは!

京都東山三条の

鍼灸・接骨院 白澤堂HAKUTAKUDOU

院長の長濱です。

当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。

今回は夏の養生についてご紹介したと思います。

また、梅雨の養生も合わせてご紹介します。

1.心身を開放する

まずは黄帝内経素問の四気調神大論篇をみてみましょう。

夏の三ヶ月を蕃秀(ばんしゅう:繁り栄えて美しい)と謂う。万物が繁栄し、秀麗となる季節で、天の気が下降し地の気は上昇して、上下交わり合い、万物も花開き実を結ぶ。

人々は少し遅く寝て少し早く起きるべきである。夏の日の長さ、暑さを厭うことなく、気持ちを愉快にすべきで、怒ってはならない。

花のある植物と同じように満開にさせ、体内の陽気を外に向かって開き通じ発散することができるようにさせるのである。これがつまり、夏に適応し「長気」を保養する道理である。

もし、この道理に反すると、心気を損傷し、秋になって瘧疾を発することになり、「収気」に適応する能力が減少して、冬になると再び病を発する可能性がある。

出典:現代語訳 黄帝内経素問 上巻 四気調神大論篇

夏の期間は

5月6日立夏〜8月8日立秋の3ヶ月間です

(立夏、小満、芒種、夏至、小暑、大暑

の六節気)。

春に芽生えた陽気が長じて最大となり、

自然や人体においても最も活発に機能し、

開花する時期です。

夏の日の長さに合わせて寝起きするようにして、夜は遅く寝ることがあっても、朝は日の出とともに早く起きるべきであると書いています。

中医においては、

夏は火に属して心臓に相応し、

心は神(精神)を蔵するので、

七情が過ぎれば心臓を傷めてしまいます。

そのため、

炎熱の気候である夏季では

心神を調養することを重視しており、

開いた花が日照を欲しているが如く

精神を充実させいつも愉快に

外向楽観的に振る舞うことを大切にします。

煩躁激動。

つまり、ただでさえ熱気が昇りやすい時期に、

イライラしたり怒ってはいけません。

平気を保つためには、

時には内向的に、

息を調え心を落ち着かせ、

心に氷雪が在るが如く、

精神面の養生を重視することも大切です。

そのような時には坐功(座禅のこと)も良いでしょう。

身体面では、適度な運動をして汗をかき、

体内の陽気が皮膚を通して外界へ発散するように

していくべきであるとしています。

例えば、余暇を利用して、サマーキャンプに行ったり、自分の好きなアクティビティに参加したり、仲間と旅行に出かけたり、一人で趣味を思いっきり楽しむのも良いでしょう。

春の養生では

リラックスが重要だと言いましたが、

夏にはとにかく心と身体を存分に発散させて、

アクティブに過ごすことが大切です。

2.多苦少甘、滋陰降火

夏季は厳しい暑さにより、汗を多くかきますよね。

そのため身体の水分が奪われやすく、消化液の量が減少しやすくなることや、暑さで体力を消耗したり、口が渇くので冷たいものをついつい飲み過ぎてしまうなどが原因で、胃腸が弱りやすい時期となります。

また、暑気を払って清熱し、熱中症などにならないよう注意する必要があります。

したがって、夏の食養生のポイントは、

  •  肥甘厚味(脂っこく甘く味の濃いもの)を避けて、淡白な味の料理を心がけること
  • 苦味の物を食し、甘味を控える
  • 消熱利湿の食べ物を食す
  • 冷飲冷食を控える

です。

一つ目は、

胃腸が弱りやすい時期なので、濃い味は避けて、あっさりとした調理で食べることで、消化能力の減少しがちな胃腸の負担を減らすことが大切であるということです。

また、噛む回数を増やして、できるだけ口の中で消化させてから飲み込めば、胃腸の負担は減らせます。現代人は、昔の人と比べて咀嚼の回数が相当減っているのではないでしょうか。忙しくてもゆったりと食事を摂る時間は欲しいですね。

二つ目は、

苦味が心臓に作用して、心の陰気を補って暑気を冷ます作用があるため、苦瓜やフキ(立夏が旬)、ピーマンや赤パプリカ、パセリ、コーヒーなど苦味のものを摂りましょう。

また、甘味の摂りすぎは脾臓(消化吸収)を傷めてしまうので、胃腸が弱りやすい夏は控えます。

ここで甘味とは、ケーキやまんじゅうだけでなく、牛肉、ナツメ、卵、穀物全般を指します。

三つ目は、

消熱利湿、つまり身体の熱とともに余分な水分を流して代謝させる食べ物です。

夏はカラッと晴れて乾燥する時期もありますが、熱により地面や植物の水分が蒸発し高温多湿となりやすい時期でもあります。梅雨もそうですし、中国では長夏と呼ばれる晩夏から初秋にかけての時期に相当します。

この時期には、体内の湿熱の邪を小便で排泄するよう促すスイカや、緑豆や紅小豆が良く、豆類はお粥などにして食べると尚良いです。

湿度の高い時期には、利湿作用のある酸味のものを摂ることで、胃腸を助けて食欲を回復させ、倦怠感をとることができます。酢の物や、梅干しなどはクエン酸が含まれ、疲労回復にも非常に効果的です。

このようにして、夏季には

防暑と防湿を心がけることが大切です。

特に湿気が多いと汗の蒸散がうまくいかず体内に湿熱が溜まり、脾臓を傷めるばかりでなく、体温調節がうまくできなくなり熱中症になりやすいので注意しましょう。

四つ目は、

暑気と湿気を避けるべきとはいえど、クーラーを過度に効かせた寒い中でずっと過ごすのはよくありません。

寒邪が肌表を侵し、汗腺の働きが悪くなり、体温調節能力が低下します。一見逆説的のように思えますが、熱中症は身体が冷えているとかかりやすくなるのです。

同じ理屈で、暑いからといって冷たい食べ物をついつい摂っていると身体が中から冷えてしまい、胃腸も弱って全身の倦怠感が強くなりますし、熱中症の危険性も増します。

また、夏に冷やしすぎると陽気を養えず、秋や冬に発病してしまうこともあるので是非とも注意しましょう。

3.梅雨の養生

内容が重複しますが、

初夏にみられる日本の特徴的な雨季でありますから分けてご紹介します。

二十四節気では、だいたい芒種から夏至(6/6〜7/6)の期間に相当します。

じめじめと蒸し暑い気候ですから防暑と防湿が重要なのは上記の内容と同じです。

梅雨の時期は、特に湿邪が旺盛で、

湿邪によって起こりうる症状を知っておくと良いでしょう。症状がでてから対処するよりは、出る前に予防することが大切ですが、身体が湿邪に侵されはじめたサインを早めに気付くヒントになります。

①食欲不振と倦怠感

なんとなく食べたくない、胃もたれを感じる段階です。肌肉にハリがなくなり、緩んで、四肢のだるさを自覚します。

②関節痛や浮腫み

身体に湿が溜まる「水滞」により、もともと痛みを感じやすい関節の痛みが増悪したり、頭痛がでたり、ひどい場合は顔や脚が浮腫みます。

③湿疹

多湿により、汗によって体内に貯留した湿熱をうまく排出できなかった場合に湿疹が生じます。

あたかも地下に溜め込んだマグマを地上に噴出する火山のように、溜まったエネルギーを外界へ排出する防衛機構です。薬で抑えると湿熱は排出されないままとなります。

④感染症

冬は寒く乾燥した環境で風邪をひきますが、夏には高温多湿を好む特有のカビやウイルスによる感染症が流行ります。

夏の炎熱の気候は、金の性質をもつ肺を傷つけるため、肺が主る肺や鼻喉、皮膚の病気が多くなります。

カビによる夏型過敏性肺炎、ウイルスによるプール熱(アデノウイルス)、ヘルパンギーナ(コクサッキーウイルス)、手足口病(エンテロウイルス)などはこの時期テレビで毎年やるのでご存知かもしれませんが、梅雨に感染することも多く、子供だけでなく体力の弱った方は要注意です。

以上が、湿の多い梅雨に特に注意すべき症状・疾患です。身体の倦怠感や関節痛などのサインを見逃さないようにしましょう。

養生としては、

湿を払い水分代謝を促す脾胃を守ることが要です。

上述した緑豆や紅小豆をお粥にするなど、利湿の食べ物を食事に取り入れ、肉食を控えて野菜を多めにし、あっさりとした味付けでいただきましょう。

換気を良くして通風するか、空調などで除湿をすることも基本的な養生です

衣服がベタベタしてきたら、軽くシャワーを浴びてこまめに着替えて清潔を保つよう意識します。

このほかに、漢方薬では余分な水を体外へ排出する「五苓散」がよいとされています。

また、蓮の葉(荷葉:カヨウ)がおススメです。

茶の通販などで手に入れて、お茶でもいいですが、お粥にして蓮の葉粥を作って食べると良いでしょう。

蓮の葉はご存知、ロータス効果といわれますが撥水性に優れ、その性質のごとく湿気を払い清熱してくれます。

4.心陽と汗の関係

最後に、夏と関わりの深い、心臓と汗の関係についての説明を補足させていただきます。

夏にその働きが最も旺盛となる心臓は、

陽中の太陽と表現され、陽気の統治者です。

そのため、心の陽気は血液を全身へ推し動かし、

人の生命活動を維持して活気あるものにし、

四肢や内臓など全身を温養する力があります。

そして、東洋医学では、心の陽気には身体の津液(血液以外の水分)を汗として排出する作用があると考え、「汗は心の液」と云われています。

精神的に緊張した時に汗がでたり、心筋梗塞なんかの発作で冷や汗がでたり、逆に過度の発汗が原因で動機や胸苦しさが起こるのは、心臓と汗が相関していることを物語っています。

ここが大事なのですが、

心の陽気を使って汗を出すということは、汗をかきすぎると陽気を漏らしてしまうことと同義なのです。

汗が陽気であるということを知っている人は少ないかもしれません。

ですから、発散すべき夏であっても、汗をかきすぎると心臓に負担がかかるため、もともと心臓が弱い方や体力のない方は汗をかきすぎないよう注意しなければいけません。

例えば、

お風呂に長時間入って汗を流しすぎるのも控えたほうがいいですし、

クーラーで冷えた身体を温めようと岩盤浴に行って汗をかくのは、これでもかと陽気を傷めつけるので最悪です。

何事も節度を守るというのが養生と心得ましょう。

5.まとめ

夏は心に通じ、

精神と肉体を開放し発散させる時期です。

防暑と防湿が大切で、

苦味を食して心陰を養い、

清熱して過度の消耗を抑えます。

湿度が多いときは酸味を食します。

あっさりした食事を心がけ、

甘味を控えて、脾胃を守りましょう。

運動するのによい季節ですが、

過度に汗をかくのはいけません。

かといって、

暑を避けるためクーラーにあたりすぎたり、

冷飲冷食が過ぎると陽気を損ない夏だけでなく

秋冬にも体調の悪さをひきずることとなります。

何事も節度を守って過ごしましょう。

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Nagahama

はじめまして、鍼灸・接骨院「白澤堂HAKUTAKUDOU」の院長・長濱です。 当院では、東洋医学の幅広い知識を現代に活かし、皆様の健康を支える施術を行っております。気血のバランス、骨格のバランスを整えて本来の正常な機能と動作を取り戻すことが大切です。心身のお悩み、お気軽にご相談ください。

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