目次
はじめに
本記事は、運気学説に基づき2022年の気候変化や動植物への影響、人の健康への影響を推し量ったものです。専門的な用語がちょっと…という方や時間がない方は読み飛ばして頂いて、
記事の最後の「干支からわかる2022年運気のまとめ」の部分でまとめていますので、そこだけ読んで頂くと良いと思います。また、要点を先に読んでから、間の部分を読むことで理解しやすくもなりますので、目的に合わせてお読みいただければ幸いです。
最古の医学書に記された運気論
五運六気(ごうんろっき)、略して「運気」と呼びますが、中国最古の医学書《黄帝内経素問》中にある天元紀大論・五運行大論・六微旨大論・気交変大論・五常政大論・六元正紀大論・至真要大論の七篇で構成され、総じて運気論と呼ばれます。
宇宙の法則および自然の気候変化がもたらす万物と人に対する影響を論ずる天人相応の論理思考と観念です。
今回は、本年である2022年の運気を、医学の古典である『黄帝内経』に記述された内容に則ってまとめてみます。
かなり大げさではないかと思われる内容も書かれていますが、陰陽五行や五臓六腑の基本的な内容をおさえれば、現代に役立つ養生法を見出すことができます。
運気論の基礎
運気は、天干地支より導きます。天干地支というと分かりづらいかもしれませんが、「干支」のことで「かんし」と読みます。干支はもともと幹と枝のことであり、十干と十二支があります。
十干(じっかん)とは「甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸」のことであり、空間概念であり、五運を導きます。毎年の年運が異なるのは、毎年の地球の所在が異なることを反映するためです。
十二支(じゅうにし)とは「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」のことであり、時間概念であり、六気を導きます。毎年の地球の所在が異なれば、四季のように気候の温度変化もまた相応して年により異なるため、地球に存在する動植物や人間の生活、生まれもった性質、さらには政治や経済などにも影響を及ぼすと考えるわけです。
※1 五運とは、土・金・水・木・火の五気の運行のこと。上記甲己が土、乙庚が金、丙辛が水、丁壬が木、戊癸が火というように、十干を五行に配して、毎年の歳運(その年の運、年運とも。)を推し量る。『黄帝内経素問』天元紀大論篇では、五運は地の陰陽とも云われており、天の気を消費して「中央・砂漠・凍土・湿原・密林」の地域特性により地上の万物を栄養する。運とは、輪転運動し、往来してやまざるの意。 太過と不及の別があり、太過とはある気候が時期的に早く訪れること、不及とは季節の到来が本来の時期よりも遅れることを一般的にいうが、通常の気候の移り変わりからずれを生じたり、気候特性が色濃くなったり現れなかったり、また五行的な相生・相克の概念とともに論じられることも多い。 六気とは、風・熱・火・湿・燥・寒の六種の気を指し、三陰三陽及び五行と結びついて、それぞれ厥陰風木・少陽相火・少陰君火・太陰湿土・陽明燥金・太陽寒水と表し、十二支を配する。すなわち、巳亥が厥陰風木、寅申が少陽相火、子午が少陰君火、卯酉が陽明燥金、辰戌が太陽寒水に配する。十二支は、地支ともいい、中国の殷代において12年で天を一周する木星の軌道上の位置(天の位置)を示すための数詞であった。
2022年は壬寅(みずのえとら)年
壬寅年は大過の運と在泉が同天符、運と四孟月が相合し、かつ支徳符の年。
中運が角木、在泉が厥陰風木であり同天符となります。また、寅は木に属し、春孟月でもあるため、壬寅年は中運である木運がこれに臨して、支徳符となします。
2022年壬寅年は、上は少陽相火が司天、中は太角木運大過、下は厥陰風木在泉となります。
壬は木運でかつ陽干であるため木運太過(※1)。木運の気は風気であるため、正常の気であるならば風木の気はその鼓動により万物をうまく揺り動かし打ち開こうとしますが、異常に働けば大風が吹き荒れ破壊の方向へと働きます。発病に結びついてしまうと、眩暈がしたり、両脇が苦しくつっぱったり、精神が落ち着かず物事に恐れおののくなどの影響がでてしまいます。
2021年は運不及の年だったので邪化日があったのに対し、2022年は運太過のため正化日があり、司天の気数は火化二で、西南方にもし勝復の気が現れれば、炎熱の気候がゆらゆらと立ち昇り、急に風雨が同時に起こります。中運の気数は風化八、在泉の気数も風化八であり、いずれも八風の数の東方にあたり、もし勝復の気が現れれば強風が吹き荒れ、冷熱の気候が交互に起こり激しい温度変化となる。
壬寅年、木運太過の影響
木運太過のことを「発生」と称し、温かく和ませるような気候が早すぎるタイミングで訪れ、万物の発育を早めます。「発生」の年は「啓陳」といい、この時木気に剋される(抑え込まれる)土気も柔和になり、草木が生長し栄え、温和な陽気が四方に行き渡り、万物も勢いよく発展します。
木運の風気は万物を秀麗に発生変化させ、よく気を布散し、スムーズに発展させることから、正常に働けば風和み日暖かく、万物は煌びやかに咲き、古いものを取り除いて良いものを採り入れ新しく発展させるがゆえに、人においても気血の流れがスムーズでのびやかな心持ちになります。しかしその気が人体に変動を与えるとするならば、めまいと頭頂部の症状に悩まされますし、自然においては強風が怒り狂ったように吹き荒れて樹木を打ち倒して一転して破壊の気となってしまうことでしょう。
木運太過が司天の火気に影響すれば、木は火を生ずるため火気が上逆します。木気が旺して土を剋してしまえば、気逆を起こし吐瀉(嘔吐や下痢)の症状を発してしまうのです。木気太過の働きが正常に機能しなければ金の収斂の気が来復し、秋の気候が急にやってきて、粛殺の気がはびこり、気候は清涼にして草木が凋落し、人においては金の邪気によって、冷えたり、空咳がでたり、食欲が落ちたり、乾燥や不眠、口喝に悩まされ、肝臓をやられてしまうなどの病変が起こると予想できます。
また、木運太過によって風気が流行すると脾土が侵害されるため、お腹が張ってくるしいなどの悩みや、躁鬱病に悩まされたり、腸にガスがたまったり腹を下し、食欲減退、身体が重だるく消化不良を引き起こしたりなど、これらすべて木気が強すぎることによって脾(消化管機能)が傷められ起こる症状となります。
また、何か落ち着かなかったり、イライラしやすくなったり、怒りっぽくなるのは風気が頭部を犯してしまった場合であり、気が昇り下がらず、身体内部で風気が旺盛となってしまっている状態です。
2022年木運と対応する事物
木運が対応するものとして、穀類でいえば麻や稲。家畜でいえば、ニワトリや犬。果物は桃やスモモ。顔色は青と黄と白の三色が散見する。五味でいえば、酸、甘、辛。季節は春に象徴され、人体では足の厥陰肝経と少陽胆経という経絡に相応します。内臓は、肝と脾。虫は毛虫と甲虫類。物体においては、その内と外が硬いものに相当し、もし発病して情動に影響を与えるならば「怒」にあたります。もし治療を考えるならば、中運風化が引き起こす疾病においては、酸味の薬物や食物を用いて調和させることになります。
少陽相火司天の年
六気の一つである少陽相火が今年の司天に位置しています。「司天」とは、客気において一番上に配される気であり、「在泉」とともに、一年を代表する気であるともいえます。少陽相火は火気でありますから、火気が地に下りて、燥金の気が起こって事を用いるにあたり、火熱が焼き焦がしてしまう上に金気が変革消耗させてしまい、地上の草木にも損害が及んでしまいます。火気太過で、暑熱がひどければ、人の肺臓の気も天の気に付き随って昇ってしまうため、悪寒や発熱、咳、くしゃみ、涙がこぼれたり、鼻づまり、鼻血、口内炎・口角炎、むくみなどを発症してしまいます。
少陽相火が司天の年は、在泉に厥陰風木が位置して年の気候を代表するため、火の気と木の気があわさって、揺れ動いて定まらず、大風が突然起こり、草木は倒れ、砂が舞い上がり石が飛び散ります。少陽の炎熱の気が流行し、年の前半において、君火相火と太陰湿土の気がこれをめぐらせてくれる時に、陰気も陽気も行き渡って、雨がやっと時節にふさわしく降るようになる。
少陽司天は火であり、在泉の厥陰は木であり、木と火は相性の関係であるから、功徳が同じくして、穀類においては赤色と青色に入ります。本年の司天の働きは炎熱であり、在泉は風で揺り動かすものであるので、熱と風が相参じて広く行き渡り、雲霧が蒸騰し、流動定まらず、太陰湿土の気が横行して気が交じり、寒気が間に起こって涼雨が降って、寒熱の気が反復して発生してしまいます。
このため、人では寒病が内生して、化膿性の吹き出物が体表に外出し、上部の気がふさいで腫脹し顔色が変わって、腹満し、下痢し、熱病に悩まされ、難聴、失明、嘔吐などを発症します。
少陽司天の年においては、羽虫(羽をもつ虫)と司天が同気であるため、羽虫は特別増えもせず減ることもありません。毛虫と在泉の気が同気のため、毛虫は生育され増えます。木が土を剋するため、鱗虫は生育されません。厥陰風木在泉において、毒を消す物や甘味の物は生じず、木気が主る酸味や苦味のものが栄えます。穀類にあっては青色と紅色の作物にあたります。厥陰在泉、少陽司天の配置なので、上陽下陰となり、木火が相合して、その気もより純度が高まり、混じりけのない味となることでしょう。
少陽司天の年の治療に関して、司天火化が病を引き起こした場合は咸味(しおからい味)で寒性の薬物や食物を用いて調節し、在泉風化が病を引き起こした場合は辛性涼味の薬物や食物がよいとされます。
2022年の異常気象と疾病
もし昨年の太陰湿土が不退位(2021年は太陰湿土が司天でした。時期が来てもなかな退こうとしない)なら、寒冷と暑熱という気候変化がしばしば発生してしまいます。どんよりと暗い空となって、湿気が去らず、人々はお腹が張って苦しんだり、食欲不振、水様の下痢、四肢に力が入らず、足が冷え、インポテンツになり、便秘に悩まされ、小便失禁もしくはポタポタとしたたるようになったり頻尿となります。
太陰湿土の気が退かなければ、その年の少陽相火が正しく移動できず、炎熱の気候が正しく行き渡らないために植物の幼苗が繁栄できません。少陽相火の気が至るのが遅れて酷暑が秋に残り、秋の粛殺の気も遅れてしまい、霜露がなかなか降りず、発熱の病に悩まされたり、陰虚内熱によって午後の定時に発熱したり、寝汗がとまらなくなったり、動悸がしたり、出血の類の病にかかりやすくなります。
2022年、少陰君火が司天の右間から昇り、在泉の左間に降りますが、もし玄水の気が勝ち過ぎれば、少陰君火は地下に入れず、赤色の雲気が始生したとしても、黒色の雲気が反って出現します。温暖な気候が万物を滑らかに生育したかと思うと、寒気がまた起こって、天雲うら寂しく、寒雪が降ります。
少陰君火伏して降りず、鬱気した後久しければまた熱気が発生し、火風の邪気によって温病が発生します。顔が赤くなり心煩し、めまいを発症します。
昨年に在泉の右間に位置していた陽明燥金が、今年の司天の左間に昇って、もし強すぎる火気にあって昇りきれなければ、降るべき時に雨が降らず、西風が起こり、土地が乾燥してアルカリ性に傾き痩せてしまいます。人々には上部の熱病が起こり、気喘いで咳がとまらず、出血性の病などにかかりやすくなります。
燥気が昇らなければ、久しくして鬱気が生じ、鬱極まって発し、清冷粛殺の気が出現するので、白い霧が天空をすっぽり覆うようになります。人々は脇の下がつっぱり、喜んだり悲しんだりして傷つき、風邪をひいて、鼻がつまったり、くしゃみをしたり、喉が乾燥して痛んだり、皮膚の乾燥に悩まされます。
運太過の場合の勝気・復気・発気の発動は、剋される運の子が復気となり、以下のようになります。 運太過→勝気→鬱気→発気(急激に発生) (火) (火) (金) (金) ↓ 復気(火気に報復する) (水)
治療と養生
少陽相火司天の本年の養生方針として、中運と司天が共に太過であることから、太過の気を抑制しなければならず、これに勝たざるところの気を助け、その鬱に到らしめる勝気を減らさなければなりません。
もし之に勝たざる気の生化の源を助けなければ急に発病することになり、もし太過の気が発生できなくすれば、重病も起こりえません。だから2022年は、咸味、辛味、酸味の薬物を用いてこれに当たります。
風気を抑えるため収斂作用のある酸味と、炎天の気を冷まし鎮めるための咸味(しおからい味)と寒性の食物、風木の気を抑えてかつ火気に弱められた金気を助ける辛味を時節にあわせて意識的に摂るとよいということになります。
基本的には防風と防暑が大切といえるでしょう。また、一年を通して木気が多く、少陽の火が多いため、金気および陰気を補うことが重要となってきます。胃腸を潤し、肺陰を損ねないようにしなければなりません。
そのため、夜更かしせず、11時までには就寝しておくことや、適度な運動により呼吸機能を鍛えておくなど、日常生活に留意します。
もし夏に暑くなりすぎて火気過多となり肺陰を傷つけてしまうようであれば、漢方薬では麦門冬湯などがよいでしょう。腎陰を補うことにより火を抑えるのであれば、味麦地黄丸、滋陰降火湯、六味地黄丸などが考えられます。
ツボでいえば、尺沢(しゃくたく)、左の陰谷(いんこく)、右の照海(しょうかい)、足三里や三陰交や脾兪(消化器症状や出血症状などあれば)や肺兪などです。
客主加臨
壬寅年は、上が少陽相火司天、左辺の間気が陽明燥金、右辺の間気が太陰湿土。下は厥陰風木在泉、左辺の間気は少陰君火、右辺の間気は太陽寒水を配します。
少陽相火司天の客気では必ず厥陰風木在泉です。風気が地に流行し、砂埃が舞い、人は「発生」の病変が多くなります。胸部がつっかえて煩悶し、心痛、胃痛、厥逆などの症であり、その変化は突発的で激しいものとなります。
先に2022年の各歩の期間を表します
(一歩は60日と87.5刻で4つの節気)。
第一歩(初之気):大寒〜啓蟄 1/20〜3/20
第ニ歩(二之気):春分〜立夏 3/21〜5/20
第三歩(三之気):小満〜小暑 5/21〜7/22
第四歩(四之気):大暑〜白露 7/23〜9/22
第五歩(五之気):秋分〜立冬 9/23〜11/21
第六歩(終之気):小雪〜小寒 11/22〜1/19
ここに、上図に示すように主気と客気を示します。
主気 客気 逆順
第一歩:厥陰風木 / 少陰君火 逆
第ニ歩:少陰君火 / 太陰湿土 逆
第三歩:少陽相火 / 少陽相火 同気
第四歩:太陰湿土 / 陽明燥金 逆
第五歩:陽明燥金 / 太陽寒水 逆
第六歩:太陽寒水 / 厥陰風木 逆
客気を主として考えます。客気が生ずる、あるいは主気に勝つ場合は順であり、これに反すれば逆となります。
一般的には、順であれば気候の異常変化があまり大きくは生じず、逆であれば異常変化が比較的大きく、同気は気候の異常が特にひどく(倍烈ともいう)発病しやすくなります。
解説
<初之気:大寒〜啓蟄 1/20〜3/20>昨年の在泉の気(太陽寒水)が移り退いて、風気勝れば揺れ動き安定せず、主客二気は木火相生じ、寒気ようやく去る。気候は大いに暖かく、草木燥気栄える。時には寒気が来る時あれども殺伐の令は働かず、温熱病が発生し、その発病は気が上部に鬱するので、血液が漏れ、目が赤くなったり、咳がでて気逆し、頭痛、不正出血、脇が張って苦しい、皮膚にできものができるなどで悩まされる。
<二之気:春分〜立夏 3/21〜5/20>主気が少陰君火、客気太陰湿土。火気あれども湿気鬱して滞り発せず。白色の雲や塵がたちこめ雨が降り、風気がもし湿気に勝てなければ雨水降下して、人々も平安無事である。発病すれば熱が上部に鬱し、頭痛や身熱が現れ、情志乱れて、胸中と喉がつっかえて、咳嗽気逆し、嘔吐し、膿をはらむ感染性のできものが生じる。
<三之気:小満〜小暑 5/21〜7/22>主気が少陽相火、客気が少陽相火。主客の気が同気であり、司天の少陽相火の気が政令を発して、ようやく炎熱の気候に至ることができる。少陽相火が上に臨し、火気甚だしく、雨水尽きて降らず。人々は熱病を内に患いやすくなり、難聴、目赤、失明、口喝、出血、喉が痛み、咳し、嘔吐し、鼻詰まりや鼻血、くしゃみやあくび、膿を伴う化膿性疾患に悩まされます。
<四之気:大暑〜白露 7/23〜9/22>主気が太陰湿土、客気が陽明燥金。 陽明が主令の時節となり、 涼気が出始めます。炎暑の気候が変化してゆき白露降り、人々の生活も和する。発病すれば脹満し重だるくなる。
<五之気:秋分〜立冬 9/23〜11/21>主気が陽明燥金、客気が太陽寒水。 陽気が去り、寒気至りて雨水もようやく降ります。陽気が収斂するので、気が閉じだせば樹木も枯れはじめ、養生に精通したものであれば気密性の高い住居で寒気を避けるものです。
<終之気:小雪〜小寒 11/22〜1/19>主気が太陽寒水、客気が厥陰風木。在泉の気もその正化の位を得て(終之氣の位は在泉の気と相合するため)、風気がやってきて、万物がかえって生育の勢を得て、霧が立ち込める。気機が外泄してしまい、陽気を閉じ込めることができずに心痛がでたり咳がでる。
干支からわかる2022年運気のまとめ
2022年は、前年である2021年の在泉に位置していた太陽寒水の強い寒気とは裏腹に、春になると木運太過の影響により、草木は栄え、万物は生育し、華々しく温暖な気候となりますが、風気強いがゆえに秋冬に陰気をしっかり養えなかった人や虚弱な人においては発病すれば、激しいめまいや花粉症、ストレスによる精神的な疲れや筋肉のこわばりに悩まされることがまず挙げられます。
風気強い時節は風木の気が脾胃の土の気を抑制してしまうがゆえに、胃腸に関わる病変、つまりお腹が張って苦しんだり、食欲がわかず手足が重く、お腹を壊したり、四肢に力が入らず、足の冷えなどに悩まされることになります。
前年の司天太陰湿土の影響がでれば初夏に湿気がたちこめ雨も降りますが、本年の司天である少陽相火の気に交代すると、木運太過の気が火を生じることにより司天である少陽相火の気が正当に機能しはじめ、少し遅れて炎熱の気が旺盛となり、非常に暑い夏となることが予想されます。
風気と熱気が相まって、温熱病に罹患しやすくなり、主に身体の上部、頭や目の症状に悩まされ、頭痛や目赤、難聴や喉の痛み、不眠を生じます。また火気は金の気をもつ肺陰を損じますから、咳嗽気逆や皮膚の乾燥と化膿性疾患が発症しやすくなります。不正出血や鼻血、喀血など出血病変もでやすくなると考えられます。
秋になっても強すぎる火気に抑えられ陽明燥金である金気が昇りづらいかもしれませんが、陽気はそれでも衰退しはじめます。木運太過と在泉厥陰風木という、一年を通して風気があり、それにより生じる炎熱の気候により、乾燥に悩まされ、陽気多く陰液が消耗しやすい年になると予想できますので、身体の負担やストレスを減らして気を鬱さないことが大切です。また、暴飲暴食と肥甘厚味(油っこいもの、甘いもの、味の濃い食べ物)を避けて胃腸を守り、余分な熱を発生させないように気をつけましょう。
治療に用いるべき味は、その時節に応じて適宜選ぶことが大切ですが、風気を抑えるため収斂作用のある酸味と、炎天の気を冷まし鎮めるための咸味(しおからい味)と寒性の食物、風木の気を抑えてかつ火気に弱められた金気を助ける辛味を意識的に摂るとよいでしょう。
本年の客気と主気の関係は、第三歩を除いてすべて「逆」であり、一般的に気候の異常変化が大きいことが予想されます。こういう年はなかなか身体が季節の激しい変化についてゆけず例年よりもつらい症状を感じることがあるかもしれません。
また、木気と火気が旺盛であるがゆえに、肺金が弱るため、呼吸器の弱い方、肺気管支疾患のある方、皮膚に問題を起こしやすい方は特に注意が必要な一年といえます。花粉症や出血病変もひどくなる可能性が考えられます。例年よりも養生を重んじて過ごすことが必要です。
ネガティブなことばかりではなく、木気旺盛で火気旺盛なこの2022年、万物は流麗に咲き誇る年でもあるため、華々しく育生されるという点では、生気が満ちたパワフルな一年になるといえます。自身の能力を思い切り開花させるのに相応しい年となることでしょう。
京都市東山区三条の鍼灸・接骨院 白澤堂HAKUTAKUDOU
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