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膝の痛みの9割は膝に原因がない
膝が腫れたり、屈伸する時に膝が痛む、ということを経験したことがありますか?
一般的には膝が痛くなると、膝に湿布をしたり、溜まった液を抜いたり、関節内に注射したりして痛みのある膝自体に治療するはずです。
問題は、それで良くなりましたか?ということです。
膝自体に原因がある場合は、少しずつそれで良くなるかもしれません。でも、膝痛を訴える方の9割以上は膝自体には原因がない、といえば信じられますでしょうか?
仮に膝に原因がないと仮定すれば、膝をいくら治療しても治らないばかりか、下手すると逆に悪化することもあるわけです。だって、膝は正常なのに注射したり傷つけたりして炎症を起こす可能性があるからですね。
逆に膝に原因がある、という場合はどんな場合でしょうか?
たとえばスポーツやケガで捻挫して、軟骨が傷ついたり靱帯が切れたり、骨の位置関係がズレてしまったりした場合。または長年膝を傷めて大きく変形してしまっている場合です。こうした場合には膝自体にも問題があるので治療が必要、ということになってきます。
でもこうした問題は、全体の1割ほどしかありません。
では、膝以外に、どんな問題があるのでしょうか?
膝はかわいそうな関節
膝関節の動きは細かくみると実際はとても複雑です。でも大まかにみて基本的な動きは、曲げるか伸ばすか、だけの単純なものともいえます。しっかり伸びて、しっかり曲がれば問題ないということができます。
膝がとっても嫌がる動きがありまして、それは「ねじれ」と「横方向への曲げ」です。膝は伸びたり曲がったりする過程でねじれたり側方に曲げられた状態で動くことをとっても嫌います。
膝関節はかわいそうな関節だと書きましたが、何がかわいそうなのか?
それは、他の関節に囲まれて、他の関節の異常を一手に引き受けてしまうところです。
膝の下には足があり、足関節やアーチの崩れなどの影響を受けますし、膝の上には股関節と骨盤があります。こうした、足・足関節・股関節・骨盤といった他の関節に囲まれて、その中でがんばっています。
前述したとおり、膝は曲げ伸ばしが基本的な動きでねじれと横への曲げを嫌うので、周りの関節が歪んでいたら、膝自身もねじれてしまったり、横に曲げられた状態で曲げ伸ばしを行うことになってしまいます。
膝は他の関節よりも、ねじれや横方向への曲げに弱いので、そういう状態で屈伸したときに、膝が最初に痛みを自覚するようになります。
他の関節が悪いのに、膝だけが痛みを背負ってしまうなんて、なんてかわいそうな関節だと思いませんか??
老化や肥満だけが膝の痛みの原因ではない
よく「太っているから」や「老化現象」というようなことで膝の痛みが片付けられてしまいますが、もしこれらが真の原因であれば、太っている人や高齢者は全員膝が痛くなっちゃうはずです。
太っていても膝が痛くない人もいるし、高齢になっても膝は全然大丈夫!という人も多いわけです。ということは、肥満や老化は膝の真の原因ではない、ということが言えます。
ただ、悪化要因ではありますよね。どういうことかというと、太っていると重心の位置が前に移動しやすくなったり、歩き方が悪くなります。高齢になって周りを支える筋肉が落ちたり体力が減って歩く量が減ってしまうことも要因の一つです。
「よく体重の3倍くらいの負担が膝にかかっている」と聞きますが、たしかに肥満で重くなることも膝の負担を倍増するのですが、きちんと膝にまっすぐ圧がかかっているかぎり膝を傷めることはありません。
問題は、膝関節に不正な圧力がかかっているということです。先ほどお伝えしたねじれたり、横に曲がったりしながら体重がかかるような状態ですね。こういう状態で曲げ伸ばししていると、どんどん膝関節はやられていきます。
もちろん肥満対策や運動などは大事ですが、こういうことを知らないで、肥満対策をしたり膝の治療をしていても、いっこうに良くならなかったりするのは、膝以外の根本的な原因が解決されていないことに起因します。
膝の痛みを放っておくと怖い変形性膝関節症
変形性膝関節症は、歩きはじめやしばらく座っていて立つ時など、動き始めに痛みを自覚するようになるのが最初です。
動き始めに痛みがでるので、動作開始時痛といわれ、「スターティングペイン(starting pain)」などと呼ばれます。このサインが出てきた時は要注意!関節軟骨がダメージを受け始めているかもしれません。
中期になると、休めば痛みがなくなっていたのがそういうこともなくなり、正座やしゃがみこみなどの動作がしづらくなります。この頃には骨棘といって、棘のような突起がでてきたり、軟骨のすり減りが多くなって、レントゲンなどでも変形の始まりが確認できます。
末期ともなると、膝には水が溜まったり、痛みで歩行困難など日常生活への悪影響は甚大です。日々の買い物やお出かけは難しくなり、QOLは著しく低下。人工関節置換術を考えます。
膝の水は抜いても意味がないし悪化する可能性も
膝に水が溜まっているから抜きましょう
一見、もっともな判断のように思えますが、そもそもどうして水が溜まっているんでしょうか。
こう問いかければ少し簡単に分かるかもしれません
「どうして傷めた膝に水を集める必要があるのでしょうか?」
答えは、膝を守るためです。
変形性膝関節症となると、普通なら接触しないはずの軟骨どうしが直接接触し、摩耗(すり減る)します。軟骨や骨自体は痛みの感覚神経がないので、痛くないはずなのですが、周りの骨膜や関節を覆う滑膜が刺激されて炎症して痛むのです。
このとき、摩耗による熱、炎症による熱がさらに膝の組織を破壊していくので、この破壊をくい止めるため冷やす必要があります。
水は比熱容量が高く、ある程度熱を加えられてもなかなか熱くならないので、患部を冷やすにはもってこいの媒体です。
そこで、身体は一生懸命膝を守るために水を集めて、火事の起こっている現場を消火しにかかります。そうして腫れるので「動かしちゃダメだよ~」と教えてくれているのです。
そのようにして身体が集めた水を抜いてしまうとどうなるでしょう?
確かにそのときは楽になるかもしれません。
でも膝は破壊から守れなくなります。だからすぐにまた身体は水を集めてきますよね。
水を抜いてからヒアルロン酸注射をすることもあります。
軟骨保護と炎症を抑えるためです。
しかし、このヒアルロン酸注射もその有効性が疑問視され、推奨されていないする考えが2013年に発表されています。
米国整形外科学会(AAOS)は2013年6月4日、変形性膝関節症(OA)治療に関する臨床診療ガイドライン(CPG)改訂版を発表しましたが、その中で、ヒアルロン酸関節内注射治療を推奨しないと明記してあります。
これは、いくら膝関節の中に潤滑剤をいれたとしても、実際に潤滑されなければ意味がない、ということを表しているのだと私は考えています。
関節の潤滑とは
関節の潤滑についての詳しい説明は、現在執筆中で、別記事でお伝えします。ご興味がある方はご覧下さい。
簡単にいうと、関節に適切な圧力がかかっていなければ、いくら潤滑液が関節の内部にあっても潤滑(摩擦なくスムーズに滑るように動くこと)はしないということです。
膝の痛みを根本的に解決するには
膝の痛みを根本的に解決するには、膝にねじれがなくなり、適切な圧力(体重)がかかることが重要です。
膝にねじれがなくなるということは、膝自体の問題というよりも、腰(骨盤)や股関節や足首などの膝以外の関節の歪みを良好にする必要があります。
これらの問題はなかなか自分では見つけることができないので、ぜひ当院にご相談ください。
実際に変形が進行してしまうと、他の部分が良くなっても膝自体が変形してまっすぐに荷重がかけられなくなるため、治療をしても治癒は厳しくなります。
それでも痛みがなくなったり、歩けるようになるケースもありますから、まずは諦めずにご相談ください。
セルフケアのご紹介
自分自身で行えるセルフケアもご紹介しておきます。
膝関節に適切な圧力が加わることが重要とお伝えしましたが、そのためには筋力も必要となってきます。詳しくは腰の筋力と膝まわりの筋力です。
骨盤立てエクササイズ
一つ目は、骨盤を前に立てるエクササイズ。座って行いましょう
・足裏はしっかり床につけて、膝が90°ほどになる高さの椅子に座る
・骨盤の後ろ(仙骨)のあたりを意識して、骨盤をゆっくり前に倒していきます(腰が反るような感覚)
・そのまま下から順番に骨盤を立てていきます。仙骨→腰の骨という感じです。
・お臍が徐々に前にひっぱられるような感覚でもかまいません。
・しっかり腰を立てることができたら、そのまま10秒間キープ!
・以上を繰り返します。足裏を地面から離さないようにしましょう
膝の筋力トレーニング
内側の太ももの筋肉を鍛えるトレーニング方法です(右脚を鍛える場合)
・床に仰向けで寝ます
・仰向けに寝たまま左の肘を地面に着いておきます
・左の膝をまげて、踵を地面につけた状態にします
・踵は地面につけたまま左足のつま先を内側に向けます(右脚のある方向)
・左足のつま先は内側に向けたままで、左脚の踵と左の肘を支点にして、左のおしりを地面から浮かせます
・左の太ももの内側の筋肉が鍛えられている感覚が分かればOKです☆☆
アイシング
膝関節の炎症による熱で、膝が破壊され変形していくことを先述しました。
この熱エネルギーを除去しておくことが、膝の変形をくい止める上で非常に重要となります。
氷をつかったアイシングをオススメします。
・氷のう(アイスバッグ)を用いて、膝の患部に直接あてて冷却します。
・アイスノンや保冷剤は使ってはいけません
・ビニール袋で冷却する場合には、かならず冷凍庫から出した氷を水で一度洗ってから患部にあててください(そうしないと凍傷のおそれがあります)
※身体が冷えないよう温かくして、患部だけを冷却するようにしましょう。冷却時間は20~30分です。
詳しい方法はこちら
京都市東山区三条の鍼灸・接骨院 白澤堂HAKUTAKUDOU
≪痛み・しびれや身体の不調を根本から改善する治療院≫
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