プールで歩くほど膝は錆びる。重力という名の「天然オイル」を捨てた代償

「膝が痛いから、なるべく体重をかけないほうがいいですよね?」

そう言われることが、本当に多いです。
階段が怖い。正座ができない。旅行に行っても歩くのが不安。
このまま人工関節になるのでは…という漠然とした恐怖。

だからこそ、
「浮力のあるプールで歩けば、膝に優しい」
そう信じて、がんばって通っている方も多いでしょう。

でも、もしそれが
膝を守っているつもりで、錆びさせているとしたら?

この記事では、
なぜ膝にとって本当に必要なのは浮力ではなく「重力」なのか。
そして、どう歩けば膝が潤滑し、痛みから解放されていくのかをお伝えします。

膝は「荷重しないほうが安全」…本当に?

一般的には、膝は体重がかかるほどすり減る、
だから浮力のあるプール歩行が良い、と考えられています。

確かに、痛みが強い急性期や、変形がかなり進んでいる場合には
プールは補助としてとても有効です。

しかし、関節が本来の機能を取り戻すためには、
適切な垂直荷重がどうしても必要なのです。

重力は、関節の「天然オイル」

膝の関節は、重力によってまっすぐ圧がかかったとき、
関節面からじわっと関節液がにじみ出ます。

それはまるで、
バナナの皮を踏んだときにツルッと滑るような感覚。

重力という垂直荷重がかかることで、
ズレていた関節の面と面がピタッと合い、
ドアの蝶番がきちんとはまったように、
スムーズに動き出します。

浮いている状態では、この現象が起きにくい。
関節は潤滑せず、滑りも悪いまま。
動いているのに、機能は戻らないのです。

骨も「荷重」で強くなる

さらに、骨は荷重によって強くなります。

骨はただの固い棒ではありません。
実は、骨は「刺激が入ると育つ」性質を持っています。

体重がかかって骨に圧力が加わると、
骨の中でほんのわずかな電気の変化が起こります。

その小さな電気信号をきっかけに、
骨をつくる細胞が働きはじめ、
骨はより丈夫に、より密度を増していきます。

これがいわゆる「ピエゾ効果」と呼ばれる反応です。

つまり、重力は関節を潤滑させるだけでなく、
骨そのものを育て、守ってくれているのです。

浮力の中では、この自然な刺激がほとんど入りません。
だからこそ、地上での適切な荷重が大切なのです。

正しい歩き方が、膝を潤す

大切なのは、
・つま先を進行方向にまっすぐ出す
・膝の向きとつま先の向きをそろえる
・ゆっくりでいいので、体重をまっすぐ乗せる

速く歩く必要はありません。
丁寧に、垂直に、荷重する。

それだけで膝関節は潤滑し、
少しずつ本来の機能を取り戻していきます。

膝が痛いことで失っているもの

膝の痛みは、単なる痛みではありません。

外出を避ける。
趣味をやめる。
旅行が怖くなる。
家族に迷惑をかけている気がする。

「前のように歩けない自分」に、
静かに自信を失っていく。

でも、膝が潤滑し、安定し、
スッと歩けるようになると、
世界の広がりが変わります。

階段が怖くない。
出かけるのが億劫でない。
将来への不安が減る。

これは単なる関節の話ではなく、
人生の可動域の話なのです。

ヒトは地上を歩くことで生理性を保つ

ヒトは本来、地上を歩く動物です。
生理性を保てる環境は水中ではなく、地上。

重力という環境の中でこそ、
関節は潤滑し、骨は強くなり、
身体は本来の機能を発揮します。

プールは補助。
でも、基本は地上歩行。

重力という名の「天然オイル」を捨てないでください。

あなたの膝は、
本当はもう一度、なめらかに動き出す力を持ってるんですから。

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Nagahama
はじめまして、鍼灸・接骨院「白澤堂HAKUTAKUDOU」の院長・長濱です。 当院では、東洋医学の幅広い知識を現代に活かし、皆様の健康を支える施術を行っております。気血のバランス、骨格のバランスを整えて本来の正常な機能と動作を取り戻すことが大切です。心身のお悩み、お気軽にご相談ください。