「寝つきが悪い」「途中で覚醒してしまう」「眠りが浅い」など睡眠の悩みをよくお聴きします。
このように睡眠状態がよくなければ、午後から眠くなって仕事に集中できなくなったり、ただでさえ忙しい朝にしんどくて毎日が気持ちよく始まらないという支障が生活の中ででてしまうことでしょう。
なぜ不眠のことについてお伝えするかというと、「睡眠」は健康にとって超重要だと考えるからです。身体の痛みであっても、重だるさやその他体調不良、はたまた美容に関しても「睡眠の質」は大きく影響しています。
寝ることで、人は回復できます。
病気の時に誰しも経験したことがあるのではないでしょうか?高熱がでてしんどい時は、いくらでも寝ることができますよね。
生死の境をさまよった時は昏睡状態に陥ることで、ある日目覚めることができます。
眠りは身体を回復させるために必要なことだからです。
むさぼるように寝て、脳とカラダをしっかり休めることで、悪い状態を修復することに力を注げます。
◆仕事が多くて夜中まで頑張っていませんか?でも無理をしていつか倒れてしまっては元も子もありません。
◆特にやりたいわけでもないのに、スマホをなんとなく見続けてしまって寝る時間が遅くなっていませんか?その時間を身体を休めたり、リラックスする時間にしてみてはいかがでしょう。
ぐっすり眠れないという状況は、それだけ心身の回復が間に合わずに毎日の疲労や負担を蓄積していくことになります。睡眠の問題は簡単ではありませんが、将来の健康に直結するので、できるかぎり良い眠りができるように心がけたいですよね。
目次
睡眠中の明かりにも気をつけてみて
睡眠中の照明が睡眠の質にも関わっています。
落ち着いて寝ることができる明るさというのがあり、1~30ルクスまでという報告があります。30ルクスといえば、本がなんとか読める程度の明るさです(ろうそくの火が15ルクス程度)。
30ルクス以上になるとノンレム睡眠(深い眠り)もレム睡眠(浅い眠り)も低下してしまうので、よくありません。
では眠りにはどのくらいの明るさが良いのかというと、「薄明視」と呼ばれる暗所で最初は見えないけれどもだんだん物の形や色が見えてくる程度がよいともいわれています。
もし常夜灯などの照明を使う場合も、オレンジ色の光にして直接目に入らない位置(ダウンライトや地面)に置くなどの工夫をすることも大切です。
逆に、完全な暗闇は心理的な不安を煽るので部屋を真っ暗にするのはよくないとする研究などもある一方で、
2022年米ノースウェスタン大学医学部の睡眠医学研究所での研究では、カーテンを閉め明かりを完全に消して、できればアイマスクをするくらいが一番睡眠には良いとされる意外な結果も発表しています。
どちらにしても、明るい照明の中で眠ることは睡眠にとって有益ではなく、たとえばテレビがつけっぱなしで光があるような環境でも、脳に刺激が入ってしまい深い睡眠を邪魔してしまうということを覚えておくとよいでしょう。
もともと照明器具が現在ほど発達していない時代では昔の人は月明り程度の明るさで寝ていたでしょうから、やはりそれくらいが一番自然なのではないかと思われます。
現在では、青色波長成分(ブルーライト)を多く含む蛍光灯をはじめLEDという昔と比べてはるかに明るい環境に身を置き、画面が直接光を発するスマホやパソコン、テレビなどに直接視線を向ける時間がとても長いので、脳がいつまでたっても興奮状態から覚めないような状況に陥っていると考えられます。
せめて寝る1時間前にはスマホの画面はみない習慣をつけることが非常に大切であると想像に難くありません。
目覚める時は光を利用しよう
すっきりと目覚めることは、夜の眠りにも無関係ではありません。
というのも、太古から私たちの身体に刻まれてきた体内時計は、実は24時間ピッタリではないのです。そのため、うまく24時間に合わせて体内時計のズレをリセットしないと、夜の眠りのタイミングまでズレてしまいます。
体内時計のわずかなズレをリセットしてくれるのが、日光です。朝起きてから4時間以内に日光や強い光を浴びることでリセットできます。
さらに、日中にもしっかりと日光を浴びることで、睡眠物質(メラトニン)が夜にたくさん分泌されます。寝つきもよくなり、ぐっすりと眠ることができるようになり、朝の目覚めもよくなって、良いループをつくることができます。
朝起きたらカーテンを開けて朝日を浴び、朝食も窓際で摂れれば最高ですが、
近年はお目覚めタイマー、ウエイクアップライトや、タイマーで自動で開くカーテンなど便利な道具もあるので、うまく利用するとよいでしょう。
背中にも太陽を浴びて不眠のサイクルから抜け出そう
東洋医学では、背中は陽のエネルギーが強いと考えられています。
逆にお腹側は背中と比べると、陰です。
もともと四足動物なので、背中に陽の光がたくさんあたり、腹側は地面に向かうので太陽があたらないため陰となります。
胎児の時も、背中が丸まっているので外側にあたる背中が陽であり、手や足を縮こめてひっつけている部分であるお腹や脚の内側、腕の内側は陰になります。
だから、背中に太陽が当たっている時ポカポカして気持ちがよく、気血がよくめぐります。
日中にちゃんと陽のエネルギーを補っておくと、夜寝る時間には身体の深部に気血が還って脳が休まりぐっすりと眠れるようになるのです。
近年は、美容のためにと日光を避ける方も増えているので、避けすぎはよくないと考えています。
だからまだ暑すぎない時間帯の朝日を背中側に当てて、眼を閉じて深呼吸すると陽のエネルギーが背中から巡りだし、ポジティブな気持ちで一日を始めることができます。
このことは東洋医学だけではなく、日の光にあたることで幸せホルモンとも呼ばれる「セロトニン」が分泌されて、ポジティブになれることと通じています。
また、セロトニンは睡眠物質であるメラトニンの材料にもなるので、夜にメラトニンの分泌を増やそうと思えば、日中に陽の光にあたることでセロトニンを産生しておくことがとっても大切となってきます。
寝る時間も大切
夜の寝つきに入る時間というのも、身体を回復させるうえでは大切です。
2時や3時に寝ているのでは、身体に疲れや毒素はどんどん溜まっていきますし、慢性化すると不眠へとつながります。
夜の11時から1時の時間を、十二支で表わすと「子の刻」と呼ばれます。
内臓でいえば「胆」の時間であり、胆の字が月と日の出を表わすことからも陰から陽へと切り替わる時間、「一陽来復」の時間です。
この11時の時間に心を休めていることが重要で、すっかり寝ている方がいいのです。
成長ホルモンなどの回復ホルモンもこの時間に分泌されます。
11時に寝ようと思うと、10時半には寝床に就いているくらいがいいでしょう。
難しい方は、週のうち何日かだけでも「今日はなにもせずに寝よう!」と決めて寝床に入ることもおすすめです。
不眠で寝つきが悪いからあまり早く寝るのはつらい、という方も、横になって目をつむるだけでもOKです!
じつは、11時という時間は、寝ないのであれば、瞑想に良い時間ともいわれています。座禅を組んで、瞑想をしてみるのも手。最近は瞑想アプリなどもあるので、上手に活用するとよいでしょう。
また、このブログの最後にあるツボ押しなども試してみてくださいね♪
東洋医学の視点から考える不眠の原因
東洋医学では、不眠は「失眠」ともいい、様々な要因が考えられます。そのため、どの原因によって不眠に陥っているのかは身体を観察して判断していかなければなりませんが、不眠全般に効きやすいツボもあるので、このブログの最後にご紹介したいと思います。
①外邪の感受によって不眠を起こす場合
外邪とは、読んで字のごとく外からくる邪気のことですが、例えば気候が暑すぎたり寒すぎたり、空調病であったり、季節に合わない衣服を身につけることで引き起こされるものです。
風にあたりすぎたり寒い中に身をさらされると頭やうなじがこわばって痛くなり、頭痛や発熱、胸や脇のあたりがつっかえて苦しくなり、不眠となります。このような場合は温かくして巡りをよくし発汗させて治していかなければなりません。大椎や風門、風池、合谷や復留のツボを用います。
また、暑い環境にやられて身体に熱をもって喉が渇くような場合でもざわざわと落ち着かずに精神不安に陥り不眠となります。この場合は「清熱」といって、合谷や曲池、曲沢というようなツボを用いて熱を落ち着かせていきます。
②胃の機能が正常でない場合
『霊枢』(逆調論)という古書に、「胃和せざれば臥は安ぜず」と書かれています。
胃は心に通じており、胃は飲食物を消化してちゃんと下へとおくりだすのが普通なのですが、胃の不調があって飲食物がいつまでも停滞したり逆流すると、その濁気が上部にある心臓へと伝播し、心神(精神)を乱されてしまいます。
よく、逆流性食道炎の方も夜中に起きてしまったりすることを聞いたことがあるかもしれません(実際かなり胃から心臓のあたりがつらくて起きてしまうようです)。
味の濃いもの脂っこいものを摂り過ぎて胃の中に伏熱があったり、消化の悪い物を食べて酸が生じたり(この場合はむかつきや酸っぱいものがあがってきたりします)、腸の働きが悪くなっても胃の機能は乱れるので、心神は撹乱されて睡眠に影響を与えます。
不眠があって、食後の胃の不快や食欲の異常、はたまた便秘など思い当たる方は、このようなことも気をつけてみるとよいかもしれません。基本的には胃の熱をとって清浄にしていくことで治療していきます。
③痰飲が結集した場合
咳が出て痰が多くでたり、動悸がしたり、むくみがでて呼吸が荒かったり、おしっこの出が悪いなどの症状とともに不眠がある場合は、痰飲という水の代謝が悪くなってできるいわゆる「水毒」が原因です。
水分の代謝がうまくいかず、身体の中で行き場の失った水の滞りが心に及んで精神を乱したり、肺にまで逆行して咳や呼吸に影響して不眠となります。痰飲のたまる場所によって異なるので一概にいえませんが、内関や豊隆や期門や太衝などで施術します。
また、決断や志を司る「胆」は精神活動と密接に関わるため、ストレスや失志により精神的なダメージが過ぎると、肝胆の火が鬱滞して津液が熱によって痰と変わり、痰火が上にさかのぼって心神(精神)を乱して動悸と不眠を起こすことも多いのでここで述べておきます。
④栄気の不足
病後や産後、またこの場合が多いかと思いますが七情(感情、ストレスやうつなど)によって不眠する場合は、栄気と呼ばれる身体を養うエネルギーが不足し、心神が栄養されないためです。
なにか心配事があったり、おそれたり、恋に悩んだり、妄想にふけったりしているうちにだんだん眠れない状態となっていき、著しい場合は終夜不眠ということもでてきます。
病後や産後には血やエネルギーを消耗するので心脾の二臓の働きが弱るためなので、十分に休んで回復すればよいのですが、七情(感情)による不眠は血虚となり心を養わずに、心が虚して精神を働かすことができなくなります。
気虚によるものは心脾を補って養い、血虚によるものや虚労(疲れ果ててしまった場合)は滋陰といって、身体の陰分を養ってあげることで心を落ち着けていく必要があります。気海や足三里、脾兪、三陰交などで施術します。
不眠におすすめのツボ
原因をみてきましたように、不眠の方はストレスや胃の不調で気が上部に逆してしまったり、水分の代謝不良や精神肉体的な疲労によって起きてしまいます。
ご家庭でできる養生としては、いまからご紹介するツボにお灸をしたり、揉むことで身体の機能を賦活化させて徐々にバランスを調えていくことが望ましいです。
【失眠(しつみん)】
なんとなく眠れない時に♪失眠というそのままの名を冠するこのツボがおすすめ!
かかと中央の少し凹んだところにあるツボです。
お灸をしてもいいし、指を折り曲げて第二関節で押したり、拳でゆっくり一定のリズムで叩きましょう。
ほどよい刺激が眠気を誘います。
【太衝(たいしょう)】
ストレスやイライラ、感情による不眠の方にオススメ。
足の甲で、親指と人差し指の骨が交わるところから少し指先側に進んだところ。
お灸してみましょう!
【足三里と三陰交】
胃の不調や、むくみや痰からくる不眠にオススメです。
足三里:膝の皿の下にある外側のくぼみに指四本を当て、小指があたるところ。
三陰交:内くるぶしから指四本分上の骨のきわ。
【光明(こうめい)】
外くるぶしから指7本分くらい上。
このあたりにあるコリをほぐすような感じで揉みます。
光明は胆経というルート上にあり、不眠にも良いツボ。胆は心と密接に関わるため、精神の調節に良いツボです。
【神門(しんもん)】
最後に神門のツボ。
手首の掌側にあるしわの上で、小指がわ。
かたい腱が触れるので、その内側(親指側)にとるとよいです。動脈が拍動しているところを、丁寧に揉みます。
お灸をしてもいいですよ(^^)
以上、西洋医学的観点、東洋医学的観点の両方から不眠に関する知識をお伝えしてきました!
睡眠のことで悩みをもっている方に、少しでも参考になれば幸いです!
不眠に関する別記事はこちら▼
京都市東山区三条の鍼灸・接骨院 白澤堂HAKUTAKUDOU
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