一年を通じて移り変わる気候よって私たちは養われもしますが、異常な気候が続くと不調に陥ってしまいます。東洋医学では天候のことを「天の気」と呼びますが、6種類あるため「天の六気(てんのろっき)」と呼んでいます。
そんな「天の六気」のひとつ、【暑気】=【暑季】は、二十四節気でいうと夏至~処暑にあたります。
二十四節気とは
二十四節気とは一年を24の節気に分け、それぞれの節気ごとに食べ物や動植物の環境・生活が変化していくことを分けたものです。
三日を気、五日を候、三候あつまって15日間で一節気です。
暑季の養生
暑季は暑気が旺盛になります。暑気とは、熱さとともに湿度が加わった気のこと。
具体的には夏至~処暑までの期間ですが、年によって早まったり遅くなったりします。
湿度が60%以上続き、朝起きるとちょっとジメジメした空気を感じた頃が【暑季】にはいったなと思って頂ければよろしいです。
陽熱が下降して地中の水分が蒸発し、湿気が溢れる時期です。
人もそうした変化に伴い代謝力をあげ、うまく熱を逃がして、湿を処理していかないと、熱中症になったり、胃腸が弱ったり、やる気が起きず体がだるい夏バテを経験したり、秋に大病したりと不調に悩まされてしまいます。
肺の代謝・腎の代謝・脾の代謝をよくしていきましょう♪
湿の邪気は陰の邪気であるため重く下注して気の流れを阻害してしまいまうので、脾胃など消化器官の働きを悪くしてしまうので、この時期とくに脾胃の養生が大切です。
養生の基本は、清熱解暑(熱と湿を除く)
例えばゴーヤなんかの苦味のある食べ物に含まれるアルカロイドは、熱を和らげて血液循環を促進するので、
苦い食べ物を適切に食すことは心臓をきれいにし、不快感を和らげ、脳をリフレッシュするだけでなく、食欲を増進して脾臓や胃を活性化することができます️
インスリンに似た物質が含まれているので、この季節かかりやすい糖尿病にもいいですね
長夏とも呼ばれるこの季節、湿邪が脾臓を傷めることから健脾、養脾が重要な時期でもあります。
健脾利湿の作用のある豆類を摂ることが食養生です
■マングビーンズ:熱と湿気を取り除き、脾臓を活性化できる
■赤小豆・あずき:脾臓、血液、心臓を活性化
■白扁豆、インゲン豆:脾臓を活性化
■大豆:健脾養骨
■青豆:肝臓と脾臓に栄養を与える
■黒豆は養脾益腎
■エンドウ豆:滋養肝脾
■ヨクイニン:健脾利湿
米と豆でつくるお粥がオススメです
また、豆は肉の煮込みにも使用でき、除湿と脾臓の強化の効果は非常に優れているのですね
植物でいえば葉にエネルギーが集まる時期
暑気は日差しも熱いので、植物においては葉っぱを大きくひろげて実を守ったり、雨も多くなる季節なので根から水分をしっかり吸い上げて、葉っぱで気化蒸散することによって暑さから身を守らなければなりません。
そのために葉を大きく茂らせる必要があり、暑気の時期には葉っぱにエネルギーの比重が大きい(気の位置が上の方にある)と考えられます。
植物で例えましたが、ヒトにあてはめると、腸からしっかり水分を吸収して、皮膚からの汗や呼吸や排便によって水分を循環・蒸散させる「水分代謝」が非常にキーポイントとなる季節です。
この時期に胃腸に負担をかけてしまったり、遅くまで起きて疲れてしまうと代謝が鈍り、身体が重くしんどい毎日が続いてしまいます。
適度な運動をとりいれ、しっかり休息して体力を維持し、脂っこいものや味の濃いもの、甘すぎるものを摂りすぎないよう注意して、過ごしましょう。
葉っぱの季節なので、食べ物としては緑色(葉もの)野菜と発酵したたんぱく質の食品(魚の味噌漬け、しめサバ、みそ汁など)を摂りましょう。
冷たいものを飲んでも大丈夫ですか?
冷えている人でも、手足が冷えているのであって、この季節は身体の内側(胃腸)は熱をもっているので、ある程度は冷たいものを飲んでも実は大丈夫です。
ただし冷飲食が過ぎると、冷え切ってしまい水分代謝が弱まり、むくみやだるさがとれなくなるので、ご自身の便の状態なども観察しながら(ゆるくなりすぎるとだめ)、冷たいものを上手にとってください。
梅雨前までは清涼な気候が続くのでビールや炭酸水は摂って大丈夫です。梅雨に入るとあまり摂りすぎないほうがよいでしょう。甘い清涼飲料水は砂糖が多いので、飲めば飲むほどのどが渇いたりだるさがでるので避けましょう。
暑くて眠りにくいときは…
蒸し暑さで眠りにくい時は、氷枕を首や頭の下にひいて寝てみましょう。
実は、脳温が下がることで神経活動が沈静化するため入眠しやすく、また深い眠りとなります。夏にかぎらず、普段睡眠に問題を抱えておられる方にもおススメです。
冷凍庫に入れて冷たくなるアイスノンのような枕も発売されているので便利です。ただし、氷を使ったほうが冷却効果は高いため、ご自身にあうものをお使いください。
首の後ろには静脈が多く、首の後ろを冷やすことで脳へ流入する動脈を対向流熱交換により効率的に冷却できます。
【脳冷却】という言葉があるくらい、脳を氷で冷却することは副作用もなくストレス緩和にも有効ですので、ぜひお試しください。
注意点は、冷却直後はふらつくことがあるので、転倒などに注意しましょう。
入浴は就寝の2~3時間前に済ませておくのがベストです。
暑季によいツボ
︎暑季に押したり、お灸したりして代謝力を高めるツボです(^^)
ぜひ一日一回、リラックスした時間に続けてみてくださいね!
蒸し暑さに負けず、熱中症などにも注意して、乗り切りましょう!
【脳冷却の方法】
・氷枕や氷嚢を用いて、氷をしっかり入れる。
・冷凍庫から出したばかりの氷は霜がついており氷点下となっているので、できれば水で洗う。面倒であれば、氷と水を一緒に入れればよい。また、氷枕や氷嚢を使うのであれば基本はそのまま使用しても問題はない
・タオルなどを巻かずに直接当てたほうが効果はあがるが、表面が濡れてきたり、冷たすぎて不快な場合は逆に入眠を妨げるのでタオルを巻いてもよい。
・風邪をひかないよう、身体やお腹はださないなど保温はうまくする。
・基本は何時間冷却してもかまわないが、氷が溶け切ったのに気が付いたらはずしておくとよい。