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自分で五十肩を本気で治すたった5つの方法

自分で五十肩を本気で治すたった5つの方法

五十肩ってどんなもの?

五十肩(または四十肩)は、40代50代での発症が多いためこのように呼ばれますが、正式には「肩関節周囲炎」と呼ばれます。

五十肩は、痛みが強いので痛みをとることにフォーカスしてしまいがちですが、痛みは最後にとれてきます。炎症を抑えることと、肩の可動域を徐々に広げていく過程を理解することが重要です。

[発症期] 数週間~数ヶ月

傷めた覚えもなく肩周囲の不快感や痛みからはじまることが多く、徐々に痛みが強くなり、髪を結んだりエプロンの紐を結びにくいなど、手を挙げたり後ろにまわす動作がしづらくなります。

棚の上のものに手を伸ばそうとするとズキッと痛んだり、車の後部座席の物をとる時に強い痛みを感じる、などの訴えもよく聞きます。

[炎症期] 1~3週間

徐々にあるいは急速に激痛となり、肩を動かさなくても痛みを感じたり、夜間に激痛で眠れない期間が続きます。この間はたとえ治療をしてもいっこうに良くなりません。いかにこの時期を早く乗り切るのかが鍵になります。その方法については下記【五十肩のセルフケア】をご参照ください。

[緩解期] 1ヶ月

炎症期に感じていた痛みが少なくなってきますが、関節の拘縮はのこっているので腕が完全に上がらなかったり背中にまわすと痛みがあります。実はこの炎症期と緩解期を行ったり来たり繰り返す場合も多く、半年~一年ほどかかる方もいらっしゃいます。

[回復期] 1ヶ月

痛みはほとんどひいた状態ですが、関節の動く範囲(関節可動域)が狭くなった状態が残ることがあります。適切な施術により動く範囲を広げることが可能です。

五十肩の原因は?

五十肩は、肩の関節を包む膜や腱の間に炎症が起こり硬くなったり癒着してしまうために痛みと運動制限がおこるのですが、

なぜ炎症が起こるのかというはっきりとした原因は現在のところ分かっていません。

加齢による退行変性と言われたりもしますが、真偽のほどは別として私自身はこの表現は好きではありません。

なぜなら加齢が原因であれば、80歳代や90歳代になると圧倒的に五十肩が多くなるはずだからです。加齢は一因であるかもしれませんが、五十肩になる人とならない人がいるということは別の要因があるはずです。

考えられることは、ヒトももともとは四足歩行の動物であったことを考えると、対となって動く股関節の影響や腰の影響も大きく関わっています。

四足動物の場合、例えば右後脚と左前脚は連動して動きます。これを「相同関係にある」と表現します。

あなたの左股関節と右肩関節は「相同関係」にあるのです。

つまり、左股関節が悪いとバランスをとるために右肩関節の動きは悪くなります。

これが基本形ですが、

右肩の五十肩を発症してせっかく治ったにもかかわらず、後に反対側の左肩が五十肩になることがあります。この場合の左肩は、元の左股関節に対して「代償性相同関係にある」といい、代償性相同関係にある側の五十肩は一般的に右肩で以前経験したものよりも痛みがひどく可動性も悪くなることが多く「凍結肩」と呼ばれます。

要するに、

五十肩は肩だけの問題ではなく、腰や股関節から波及して起こる可能性があるということです。

姿勢も関係する

五十肩になりやすいかどうかはその人の日常姿勢の影響も関わると考えられます。

試しに、片足をななめ後ろにひいて、反対側の肩を挙げてみてください。比較的挙げやすいはずです。

逆に片足をななめ後ろにひいて、今度は後ろにひいた足と同じ側の肩を挙げてみると、挙げにくいと思います。

股関節や腰のひねりによって体幹の位置が変わるため、このようなことが起こります。前に入り込んでいる方の肩は挙げにくかったりもします。肩が後ろにさがれば比較的挙げやすいのです。

もっといえば、猫背にして肩を挙げると挙げにくいのが分かりますし、身体を横に倒してみると倒した側の肩は挙がりにくくなります。

このように姿勢によって肩甲骨の位置が変わるために、肩の上げ下げに大きく影響を及ぼします。

これは前節の股関節や腰の状態と密接に関わっているということにつながります。つまり、五十肩を治すためには腰や股関節の状態を整えて、さらに普段の姿勢に注意することも大切となってくるのです。

手を下に向けての作業が多い

日常生活において、デスクワークやパソコン作業、物を持ったり物を取るときも、手のひらを下に向けて何かすることが多いのです。

そうするといつも手は下向きで、腕を内側に捻っている状態となります。

手のひらを下向けにして、腕を前からあるいは横から上に挙げてみましょう。

挙がりにくくないですか?

手のひらを耳に向けて腕を挙げた方があげやすいはずです。

実は手のひらを下にして日常作業をしていることで、肩に負担がかかっていることも多いにあります。

手のひらをできるだけ上に向けるストレッチや腕まわりをほぐすことを採り入れるとよいでしょう。

肩甲骨と鎖骨の影響

もう一つ、肩への負担として関わってくるのが、肩甲骨と鎖骨の動きです。

肩を真上まであげるには、肩甲骨の動きが1/3、肩関節の動きが2/3であると言われており、肩甲骨がちゃんと動いてくれないと、肩関節の動きだけで挙げることになるため負担が大きくなるわけです。

さらには、前側の鎖骨の動きも肩の上げ下げに結構大きく関わるので、

鎖骨と肩甲骨を調整するだけで、肩の動く範囲は相当変わることがあります。

いつもいかり肩になってしまったり、呼吸が浅くて肩で息をしてしまう人は、肩甲骨が上に上がってしまっているので、姿勢と呼吸を整えて、肩に負担がかからない状態を維持するよう努力してみましょう。

五十肩のセルフケア

それではこれまでの内容を踏まえて、五十肩を治すためのセルフケアをご紹介いたします。

1.歩行と冷却

歩行は腰と股関節を整えるための基本です。歩行についての詳しい説明は別記事にてご紹介していますので、参考にしてください。

健康に役立つ正しいウォーキングの方法

さて、五十肩の治療で最も重要になってくるのがアイシング(冷却)です。

特に先述した[炎症期]には何をやってもほとんど効果のえられない時期があり、この期間をいかに早く乗り越えるかが重要とお伝えしましたが、

そのための方策が氷によるアイシング(冷却)です。

炎症反応が急速に過激に起こっている状態なので、燃え広がった火事を消火してやることが第一となります。

方法は、アイスバッグ(氷嚢)に氷と水をしっかり入れ、患部に直接あてて40分以上冷却を繰り返すというものです。注意点としては、①アイスノンや保冷剤を使わないこと、②必ず水で洗った氷を使うか、氷に水を入れて使うかしてください。

2.五十肩体操~内転挙上法~

五十肩の可動域を広げていくための体操です。痛いので急性期には無理して行わないようにしてください。

図のように痛い方の肘を胸の前、身体の真ん中のライン(正中線)まで持ってきて腕を垂直にたてます(痛みが強い場合はここまで腕を持って来れられないので、加減してください)

この時、反対側の手で肘を支えてもいいですが、決して引っ張らないよう注意します

上記の構えの位置から、正中線と腕のラインをそろえたまま、肘を持ち上げていきます。

心臓に負担がかかるため息を止めずに口をすぼめて吐きながら行いましょう

痛みが強いので、できるところまで挙げて5秒間キープします。(息はとめないでください)

【よくない例】

腕を挙げる時に肘が外に逃げてしまっています。

相当痛いので無理はしないでください。

肘が外に逃げない程度でいいので、ゆっくりと上に挙げて限界のところで止めましょう。

傘やホウキなどの棒を利用して行う運動もあります。

図のように後ろ手に棒を握って構えます。

下の手を主導にして、上下に動かすようにしてください。上の手はそれにつられて動きます。

痛い方の手と痛くない方の手を入れ替えて、行ってみましょう

運動後はアイシング(冷却)をしっかり行うことをオススメします。

3.五十肩セルフマッサージ

凝り固まった筋肉は肩の動きを制限するだけでなく、血流が悪くなり発痛物質を蓄積し交感神経優位となるために慢性疼痛の原因となりえます。

五十肩を治していく上でポイントとなる筋肉をご紹介します。

五十肩のセルフマッサージ

[棘下筋]

マッサージでもっとも効果の得やすい筋肉です。肩甲骨背面の下半分に位置する筋肉です。ここをフック型のツボ押し器で押したり、テニスボールなどをうまくつかってほぐします。肩甲骨の動きがよくなり、肩の動きもよくなります。

五十肩と大胸筋

[大胸筋]

胸の前の筋肉です。鎖骨の指一本分くらい下を、反対の手の中指と薬指を使って、上下左右にコリコリ動かしてほぐしましょう。かなり痛みますが、効果は大きいです。この部をほぐすことで、鎖骨の動きがよくなり、肩や首も動かしやすくなります。

[三角筋]

上腕の一番上の膨らみの筋肉です。三角筋の前側や後ろ側を、反対の手の中指・薬指を使ってコリコリと繊維と垂直に動かしながらほぐしましょう。

上記三つの筋肉をほぐした後に腕を動かし、ほぐして、動かすを何度か繰り返します。徐々に動く範囲が広がっていることを確認します。

冒頭で説明したとおり、痛みはまずとれません。動きがよくなっていくことを確認していきましょう。

4.ハイハイ運動

人も、もともと四足動物であったことを利用して、股関節→腰→脊柱→肩甲骨→腕の連動を再教育するために有効な手段です。

赤ちゃんのハイハイをよく観察すると、単に脚や腕を動かして進むのではなく、背骨もくねらせながら体幹でハイハイを行っています。このような動きが、股関節や肩甲骨の動きをニュートラルに取り戻させてくれるため、推奨します。

注意点は、できるだけ直線で進み、ゆっくり行うこと。けっして無理はしてはいけませんが、痛い肩にもゆっくりと体重がのる方がいいです。反対側の股関節の動きを少し意識してやってみるのもよいでしょう。

5.五十肩に効くツボ

[手三里(てさんり)]

肘をしっかり曲げたときにできるシワから指三本分手首側です。

痛む肩にむけて押すか、お灸をします。

[肩貞(けんてい)]

脇の下の後ろにあります。

痛む肩の脇の下から反対の手を入れて中指と薬指を使って後ろにあるツボをもみほぐします。

イタ気持ちいい程度で押すようにしてみましょう♪

五十肩の注意点:それって本当に五十肩?

五十肩以外にも腕が上がらなくて痛みの似通った病態があります。

その場合、放置すると悪化のリスクがあるのでまず専門医に診てもらうほうがよいでしょう。

意外と多いのは[腱板断裂]。40~60代男性の右肩に好発し、五十肩と間違いやすいので注意が必要です。肩関節をつなぐ筋肉が腱の部分で切れてしまう状態です。部分的な断裂の場合には、肩を挙げる際に力が入りにくかったり、肩の上部で「ジョリジョリ」という音がなったりします。

その他、石灰沈着性腱板炎、変形性肩関節症、肩峰下滑液包炎、上腕二頭筋長頭腱炎、胸郭出口症候群、頚椎症、内臓関連痛などが挙げられます。

さいごに

いかがでしたでしょうか。

例えば上記以外にも、糖尿病の人は五十肩になりやすく治りも悪いため、基礎疾患の治療を優先することも重要です。

五十肩は肩だけの問題として捉えるのではなく、全身の連動としてみていくことが重要であることがお分かりいただけましたでしょうか。

基本的には放置しておいても完治するものではありますが、中には運動制限が数年経っても残り続ける場合もあるので、しっかりケアすることが大切です。

同時に、肩が挙がらない・痛いからといって、五十肩ではない場合もあります。その場合にはいつまで経っても治らなかったり悪化していくケースがあるので、自己判断せず専門家に診てもらうことをおすすめします。


京都市東山区三条の鍼灸・接骨院 白澤堂HAKUTAKUDOU

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Nagahama

はじめまして、鍼灸・接骨院「白澤堂HAKUTAKUDOU」の院長・長濱です。 当院では、東洋医学の幅広い知識を現代に活かし、皆様の健康を支える施術を行っております。気血のバランス、骨格のバランスを整えて本来の正常な機能と動作を取り戻すことが大切です。心身のお悩み、お気軽にご相談ください。

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