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干支からわかる2023年の運気と養生

2023年運気の図

はじめに

本記事は、運気学説に基づき2023年の気候変化や動植物への影響、人の健康への影響を推し量ったものです。専門的な用語がちょっと…という方や時間がない方は読み飛ばして頂いて、

記事の最後の「干支からわかる2023年運気のまとめ」の部分でまとめていますので、そこだけ読んで頂くと良いと思います。また、要点を先に読んでから、間の部分を読むことで理解しやすくもなりますので、目的に合わせてお読みいただければ幸いです。

最古の医学書に記された運気論

五運六気(ごうんろっき)、略して「運気」と呼びますが、中国最古の医学書《黄帝内経素問》中にある天元紀大論・五運行大論・六微旨大論・気交変大論・五常政大論・六元正紀大論・至真要大論の七篇で構成され、総じて運気論と呼ばれます。

宇宙の法則および自然の気候変化がもたらす万物と人に対する影響を論ずる天人相応の論理思考と観念です。

2023年の運気を、医学の古典である『黄帝内経』に記述された内容に則ってまとめています。

自然現象や人の発病に関しても、かなり大げさではないかと思われる内容も書かれていますが、陰陽五行や五臓六腑の基本的な内容をおさえて、どのような影響があるのかをみていくと、なるほどと思わされる部分もたくさんみつかります。

最後に現代に役立てられる形でまとめておりますので、どのような一年になりそうなのか、養生法も含めてぜひご一読くださると嬉しく思います。

運気論の基礎

運気は、天干地支より導きます。天干地支というと分かりづらいかもしれませんが、「干支」のことで「かんし」と読みます。干支はもともと幹と枝のことであり、十干と十二支があります。

十干(じっかん)とは「甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸」のことであり、空間概念であり、五運を導きます。毎年の年運が異なるのは、毎年の地球の所在が異なることを反映するためです。

十二支(じゅうにし)とは「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」のことであり、時間概念であり、六気を導きます。毎年の地球の所在が異なれば、四季のように気候の温度変化もまた相応して年により異なるため、地球に存在する動植物や人間の生活、生まれもった性質、さらには政治や経済などにも影響を及ぼすと考えるわけです。

※1 五運とは、土・金・水・木・火の五気の運行のこと。上記甲己が土、乙庚が金、丙辛が水、丁壬が木、戊癸が火というように、十干を五行に配して、毎年の歳運(その年の運、年運とも。)を推し量る。『黄帝内経素問』天元紀大論篇では、五運は地の陰陽とも云われており、天の気を消費して「中央・砂漠・凍土・湿原・密林」の地域特性により地上の万物を栄養する。運とは、輪転運動し、往来してやまざるの意。
太過と不及の別があり、太過とはある気候が時期的に早く訪れること、不及とは季節の到来が本来の時期よりも遅れることを一般的にいうが、通常の気候の移り変わりからずれを生じたり、気候特性が色濃くなったり現れなかったり、また五行的な相生・相克の概念とともに論じられることも多い。

六気とは、風・熱・火・湿・燥・寒の六種の気を指し、三陰三陽及び五行と結びついて、それぞれ厥陰風木・少陽相火・少陰君火・太陰湿土・陽明燥金・太陽寒水と表し、十二支を配する。すなわち、巳亥が厥陰風木、寅申が少陽相火、子午が少陰君火、卯酉が陽明燥金、辰戌が太陽寒水に配する。十二支は、地支ともいい、中国の殷代において12年で天を一周する木星の軌道上の位置(天の位置)を示すための数詞であった。

五運も六気にも主・客があり、主運・主気は毎年変化することのない季節の移り変わりです。それに対して客運・客気はその年その年ごとに反時計まわりで移り変わっていくものです。下図で示しているのは主に六気の主気と客気です。

図には明記してませんが、毎年1月20日頃の大寒から始まるのが「初之氣」です。3日を気、5日を候、3×5=15日を気候=1節気としますから、初之氣から60日87.5刻=四節気(一歩という)ごとに二之氣、三之氣…というように移っていきます。これに主気・客気を配していくのです。

図の最外層は主気(緑色)。外から三段目に客気(ピンク色)を示しています。主気は毎年変わることのない気ですから、

主気:厥陰風木→少陰君火→少陽相火→太陰湿土→陽明燥金→太陽寒水

の順で、年に関わらず必ずこの図に示す位置にあります。

一方の客気は、図をみてわかるように

客気:厥陰風木→少陰君火→太陰湿土→少陽相火→陽明燥金→太陽寒水

という移り変わる順番は変わりませんが、年ごとに反時計まわりに移り変わっていきます。例えば、2023年は司天の位置に陽明燥金が位置していますが、2022年は2023年右間にある少陽相火が司天の位置にありました。

ちょうど、主(あるじ)は動かずいつも同じ位置にあるのに対し、客(きゃく)は順番に入れ替わっていくようなものだといえるでしょう。

毎年客気が規則正しく移り変わればよいのですが、気候が常態に反することもあり、特殊な状況となることもあります。これら一般規律とは異なる常態変化には、『黄帝内経素問』の刺法論篇・本病論篇にある不遷正・不退位・升不前・降不下の区別があります。

図の最内層に示す「司天・在泉・間気」については、客気における六気の別称です。その年の上半期の気候を統率する客気を「司天」、下半期の気候を統率する客気を「在泉」とする理解もあります。

司天が陽の場合在泉は陰となり、逆に司天が陰の場合には在泉は陽となります。ここで、少陰と陽明・太陰と太陽・厥陰と少陽というように、図の対角にある気同士は相合して輪転します。厥陰が上がればその対角にある少陽は下り、これが陰昇陽降となるわけです。

司天・在泉の遷移がうまく運び、天地の気の昇降が順調であれば、自然の生成化育の作用も良好であると考えるのです。

2023年運気の図
2023年の運気

2023年は癸卯(みずのとう)年

癸卯年は不及の運と在泉が同歳会の年。

中運が少徴(火運不及)、在泉が少陰君火で相同であり、同歳会の年です。このように、年干と年支とがともに陰に属し(癸と卯はともに陰)、歳運と在泉の気が同じものを「同歳会」といいます。歳会の年は病の進行は緩やかな反面、持続しやすいと云われています。

2023年癸卯年は上が陽明燥金司天、中は少徴火運不及、下は少陰君火在泉となります。

癸年は火運にあたり、陰年であることから不及であり、火運不及の年です。

太過と不及 歳運には太過と不及の別があり、陽干が太過、陰干が不及と決まっている。その歳の気候属性が強く現れたり、時期的に早く気候が訪れることを太過。気候属性が強くはなく本来の時期になってもその季節が到来しないことを不及と表現する。陽年(太過)は本気が流行し、陰年(不及)は剋己の気が流行するという説明もあり、これにより気候変化の状況をある程度推測することができる。

火運不及の年は、火を剋する(抑えつける)水の寒気が勝気となり、火を生ずる土の雨気が復気となります。火の力が弱いので、金を剋することができず、司天である陽明燥金の金気が政を得るため、金運平気の年と同等の気候変化となります。

火運不及の場合、寒化の勝気と雨化の復気が現れます。勝気と復気が現れるのは邪化日であり(運不及の年は邪化日がある)、災害は西方九宮に発生します。司天の気数は燥化九であり、八風の数の西方にあたり、もし勝復の気が出現すれば、燥熱により干ばつし、暑湿蒸騰し、冷雨がしとしと降る。中運の気数は熱化二、在泉の気数は熱化二、中運と在泉はすべて八風の数の西南方に対応し、もし勝復の気がでれば、寒熱交替し、大雨が降ります。

癸卯年、火運不及の影響

火運不及を「伏明」と呼びます。これは、温暖の気が不足していることを意味し、万物がうす暗くぼんやりしていて、光がないさまです。伏明の年のことをまた「勝長」と呼び、生長の気が発揚しないばかりか、収蔵の気(内に封じ込めようとする気)がはびこり、生化の気を益々発展させないようにしてしまい、寒冷の気が常に出現し、暑熱の気は極端に弱ってしまいます。万物は土の化気を受けて生じるといえど、火運が不及しており、生じても成長することができず、果実を結んだとしても非常に小さくなってしまうことでしょう。生育しようとしても、気が既に衰えてしまっているが故にこのような結果となってしまいます。

火運が衰えるので、陰気が凝結して寒風がきびしい気候となるに伴って暴雨が降り注ぎ、激しい雷が轟き、濃黒の雲が太陽を遮蔽し、陰雨が連綿と続きます。こうした災害は土の復気によるもので、九の方角(南)で起こります。もし発病するとしたら、こうした邪気が心(しん)を傷つけることが原因となります。

癸卯年は、陽明燥金が司天に位置し、火運が不及なので、金が火を畏れることがないため、金気が事を運ぶことになるので、金の平気(金運の正常の気)が流布します。こうした金運の正常な働きを「審平」といいます。安らかで平和な気で、この気があれば、万物が果実を結ぶことができます。

金はもともと収束する性質をもつけれども万物のエネルギーを奪うようなこともなく、粛殺を主るといえども害を残すこともない。五行の気化作用は滞りなく清く明らかで、金気は清潔でありながら剛強。その作用は万物を成熟させ散り落とす。その生化の効能は万物を結実させ収斂させる、といった働きがあります。

火運不及のために、寒気が旺盛となることで、夏の生長の気の作用を発揮できなくなります。陽気は生化できずに万物は繁茂できず、美しく繁栄するはずだった生命力は打撃を受けて、赤色の穀物類が成熟できません(火は赤に属する)。人々は胸や腹が腫大し、心痛し、胸・背・肩甲骨間と両腕内側が痛み、脇のリンパなどが腫れてつっぱり、脇下と腰背が相互に関連して痛み、甚だしい場合には四肢が縮こまって伸びなくなり、股関節が思うように動かせなくなり、抑うつ状態となって眩暈し、頭目ははっきりせず、突然声がでなくなるなどの症状に悩まされます。

また、火運不及により、火は水に抑制され、火が反応を起こすことで土気が来復し、霧が立ち込め、どしゃ降りの大雨となり、水気が抑制されることで黒色の穀物類が育たなくなります。人々への影響は、お腹が張って苦しく痛み、寒たさでお腹が鳴り、飲食下らず、水様便で下痢して、両足ひきつり、萎縮したりしびれたり、歩けなくなったりします。

火運不及の年、もし夏に景色がはっきりするほど正常な気候であれば、冬はしょっちゅうどしゃ降りの大雨に見舞われます。そうした自然災害は南方に出現します。五臓においては心、病位は内は胸脇部、外は経絡に現れます。

2023年火運不及に対応する事物

火運不及により陽気は屈服し、虫は早く地中に隠れます。もし火気が長期間鬱したうえで発作を起こせば、必然的に横逆暴虐し、その変動は隠れたり現れたりと大きく変化します。

火運に対応するものとして、果物では栗と桃。穀物類では豆と稲。五味では苦味と咸(しおからい)味。顔色では黒と赤、畜類では馬と猪、虫では羽虫と鱗虫、気候においては氷雪霜寒、声音は徴(ソ)と羽(ラ)、人の病では痛みとなり五臓では心にあたります。もし発病すれば、精神錯乱し、悲しみやすく忘れやすくなります。

中運熱化による病には、咸性で温の薬物や食物を用いて調和させることになります。

陽明燥金司天の年

六気の一つである陽明燥金が今年の司天に位置しています。「司天」とは、客気において一番上に配される気であり、「在泉」とともに、一年を代表する気であるともいえます。燥気が地に降り、風木の気が起こることで、脾土が必ず被害を受け、清冷の気が起こることで草木が枯れます。人体の肝臓の気は天の気に従って上にのぼり、脇痛や目赤、眩暈、動揺、戦慄、筋が委縮して立てなくなるなど発病してしまいます。

2023年は陽明燥金が司天にあって、少陰君火が在泉に位置しており、金気不及となり、火気がその虚に乗じて陽気が過剰となり炎暑の気が強まり、万物を乾燥させ固摂してしまいます。金気不及のために木の作用が伸びやかに働き、軟らかな風が吹いて、風気と燥気が合い重なって気交の内に流れることとなります。これにより、陽気が多く陰気が少ない状態となりますが、陽気盛んとなり極まれば、必ず衰退して陰気が伸びてきます。図の四之気にあたる主客二気である太陰と太陽がその令を主るとき、雲がたちこめ雨が降り、湿気が広がって、乾燥の気はまた潤沢な気へと変化します。

司天の政は陽明燥金で急切といい、在泉の令は卒暴で、金気と火気が合えば、地中に隠れる虫たちも隠れず、流れる水も氷結することはありません。司天は清気であり、在泉は熱気であり、人においても寒熱が入り乱れ、寒さで震え、のどは腫れて塞がり、咳嗽し、大小便がでにくくなるなどの症状に悩まされます。

2023年は、カブトムシやコガネムシなどの介虫は司天の陽明燥金と同気で、金は火によって抑えられるために、介虫は成長しにくいでしょう。反対に、羽虫は在泉の少陰君火と同気で、羽虫は成長しやすいといえます。

少陰君火が在泉の場合、水や金の気である咸(しおからい)、辛味の物は育たず、火が司るところの苦・甘・淡味のものは繁栄し、穀類でいえば黄色と赤色の作物にあたります。金気が不及することで火気が乗じて、金の性質をもつ白色の甲虫類が被害をうけ、そこから水気が来復した場合には火に属する羽虫類が害を被ります。

もし司天の燥金の気がもたらした病に対しては苦味で小温の薬か食べ物を用い、在泉の君火の気がもたらした病に対しては咸味で寒性の薬や食べ物で治療するのが適切です。

2023年の異常気象と疾病

もし昨年2022年の司天であった少陽相火が不退位で(その位を退かず)、炎熱の気候が春に起きれば、暑熱が年の後半になっても残り、冬が温暖で河川は凍らず、地面に隠れて冬を越す虫たちも隠れなくなってしまう。人においても発熱しやすく気を消耗し、悪寒と発熱が交互におこり、小腹(お臍より下のお腹)は硬く脹満し、便や小便に血が混じったり、出血性の疾患に悩まされます。

少陽相火が不退位の場合には、本年司天であるはずの陽明燥金の気が正位を授かれず、暑熱の気が流布して乾金の粛殺の気が働かないために草や木が繁茂する。清冷で急切である燥金の気が働かなければ、肺金が病み、人々は寒熱し喘嗽し、悲しく鬱々として、鼻閉したりくしゃみがとまらなかったり、皮膚がカサカサになり、爪が瘦せこけてしまいます。

図を参考にしてほしいのですが、2023年は太陰湿土が昨年の司天の右間にあった位置から、本年の在泉の左間にくだらなければなりません。しかし、もし蒼木の気が土気を抑えれば、太陰湿土は地に降りません。あるいは少陽相火が不退位であっても、太陰湿土が在泉の左間に降ることができません。太陰湿土が「降不下」の場合、黄雲が現れ、青色い雲霞がしょっちゅう現れ、ちりのような霧気が空を遮って、雲気がたちこめ大風が吹き荒れ、草木が折れてしまうことでしょう。

もし太陰湿土がなかなか降りない状態が続けば、湿土の気が伏して行き渡らず、鬱気と化し、空は黄色の塵のような雲気がたちこめ、地上の湿気が燻蒸されてジメジメとした空気に覆われます。こんなとき、人々は胸満し、腹が脹って苦しく、眩暈立ち眩みをして、四肢は痛み、だるくて力が入らずうごきづらいなどの症状に悩まされます。

太陽寒水も昨年の在泉の右間から今年は司天の左間まで昇るべきですが、もし天芮の土気が勝れば、太陽寒水は「升不前」となります。また、2023年の陽明燥金の司天が正位を得ない場合にも、太陽寒水は司天の左間に昇ることができません。

もし土運が時に応じて至れば、寒水の気が司天の左間に昇ろうとしても土運の抑制を受けてしまい、湿気と熱気に蒸されたり、寒気が天地の間に生じます。はげしい下痢や消化不良などに悩まされます。

寒水が昇らず、鬱気と化せば、発気へと発展し、冷気は客熱の気に勝って、ひょうが突然降ります。人においては内に熱が生じ、陽気が外に痺して、動悸し、懊悩煩熱闕逆し、しゃっくりがでて脚がだるく痛みがでます。

治療と養生

陽明司天の年においては歳気を得る穀類を食することで正気を安定させ、間気を得る穀類を食することで邪気を払うのが原則です。2023年においては、司天は陽明燥金なので辛味。そして間気は太陽寒水および少陽相火なので、それぞれ咸味・苦味です。緩めて発汗させ、清熱利湿させ、発散させることで治療し、不及した運気を安定させ、邪気の侵襲を回避し、正気を扶けます。

客主加臨

図をみてわかるように、癸卯年は、司天が陽明燥金、在泉が少陰君火の年で、暴熱が起こり、地気が変して暑熱蒸騰し、冬季にも炎熱の気候にみまわれ草木が枯れて、河川は凍ることなく地中に虫も隠れない気候となりがちです。

体内に陽気が鬱して発病するので、寒熱往来するマラリアのような症状と、小便不利、甚だしい場合は心痛の症状に見舞われます。

先に2023年の各歩の期間を表します

(一歩は60日と87.5刻で4つの節気)。

第一歩(初之気):大寒〜啓蟄  1/20〜3/20

第ニ歩(二之気):春分〜立夏  3/21〜5/20

第三歩(三之気):小満〜小暑  5/21〜7/22

第四歩(四之気):大暑〜白露  7/23〜9/22

第五歩(五之気):秋分〜立冬  9/23〜11/21

第六歩(終之気):小雪〜小寒  11/22〜1/19

ここに、上図に示すように主気と客気を示します。

                 主気                    客気               逆順    

第一歩:厥陰風木     /    太陰湿土         逆

第ニ歩:少陰君火     /    少陽相火         同気

第三歩:少陽相火     /    陽明燥金         逆

第四歩:太陰湿土    /     太陽寒水          逆

第五歩:陽明燥金    /     厥陰風木          逆

第六歩:太陽寒水    /     少陰君火         逆

客気を主として考えます。客気が生ずる、あるいは主気に勝つ場合は順であり、これに反すれば逆となります。

一般的には、順であれば気候の異常変化があまり大きくは生じず、逆であれば異常変化が比較的大きく、同気は気候の異常が特にひどく(倍烈ともいう)発病しやすくなります。

解説

<初之気:大寒〜啓蟄  1/20〜3/20>主気は厥陰風木。客気は太陰湿土。昨年の在泉の気(厥陰風木)が移り退いて、金剋木により司天の陽明燥金が統率し、天気厳酷にして、陰気が凝集しはじめ、水は凍り、寒雨の気が広がる。発病は内熱脹満し、目の周りがむくんで赤くなり、鼻閉し鼻血がでて、くしゃみ・あくびし、嘔吐、小便黄赤しぽたぽた滴ったり、でにくくなったりする。

<二之気:春分〜立夏  3/21〜5/20>主気が少陰君火、客気が少陽相火。二つの火気が事を用いて、陽気が流布し、万物は成長繁栄しだす。とても快適に過ごすことができるが、流行性の疫病にかかってしまうと病気の進行も早く容易に死に至ってしまうことも。

<三之気:小満〜小暑  5/21〜7/22>主気が少陽相火、客気が陽明燥金。司天の政が流布して、涼しい気がいたり、客気である燥気と主気の熱気が相互に交合し、燥気極まり湿気が来復して乾燥を潤わせるが、人々は寒熱の病を患いやすくなる。

<四之気:大暑〜白露  7/23〜9/22>主気が太陰湿土、客気が太陽寒水。水気と土気が気化し、寒雨降る。発病すれば急に意識を失ったり、うわごとをいい、呼吸が浅く、のどが乾燥してひどく水を欲し、震えて痙攣し、骨が委縮して、心痛、体表に腫れ物ができたり、血便する。

<五之気:秋分〜立冬  9/23〜11/21>主気が陽明燥金、客気が厥陰風木。秋に春令がはしり、枯れ始める草木も生い茂り、人においても平穏無事に暮らせる。

<終之気:小雪〜小寒  11/22〜1/19>主気が太陽寒水、客気が少陰君火。在泉の気である少陰君火が統率し、陽気が行き渡り、気候は温暖で、地中に潜るはずに虫は隠れず、河川は凍結せず、人は健康に暮らすことができるが、もし陽気が盛んになりすぎれば温病にかかる。

干支からわかる2023年運気のまとめと考察

ここからは、2023年の運気をできるだけ平易に、また現代人に諸問題に活かせる内容にして、まとめて解説してみます。

最後に養生に良いおススメのツボも載せていますので、チェックしてみてくださいね。

癸卯年は、火運不及であり、司天は陽明燥金、在泉が少陰君火の年です。不及の運と在泉が同じ火の属性であるので、「同歳会」の年であり、病の進行は緩やかな反面、持続しやすいと考えられます。

癸(みずのと)は火運に属し、陰年であることから不及となります。そのため火運不及だけをみると一年を通じて暑熱の気候はそれほど強くなかったり、夏が来てもなかなか暑くならない可能性があるので、冷えに弱い方や心臓や胃腸の動きが悪い方は注意が必要かもしれません。

また、本年は卯年です。卯は陽明燥金という燥冷で清涼の気を有します。火運不及なので金が火を畏れることがないため、金気が伸びやかに働くかと思いきや、なかなかそう簡単には解釈できなさそうです。

というのも、在泉の位置に少陰君火があるため、火が金を剋することとなり、金気不及となりやすいとみることもできるからです。

天の気においては火気が強く、地の気においては火運が弱い状態といえるでしょう。

どういうことかといいますと、天候としての火気は強く炎熱の気候となる反面、地の火運が弱く植物は栄養不足と乾燥で弱り、人においても火気が地からの栄養として得られないため胃腸が弱り、炎熱の気候に苦しめられることが考えられます。

天は熱く地は冷えるので、上実下虚となり、足は冷えるけど頭がのぼせてしまったり、こうした陽気過多の状況に併せて、陽明燥金の気が地に降りて風気が舞い上がれば人体の肝木の気も上に上がって、眩暈やイライラ、胸脇苦満などの症状とともに胃腸をやられてしまうかもしれません。日ごろからストレスをため込んだり、目を使いすぎる方は、リラックスできる時間をつくるなどして過ごすとよいでしょう。

司天は金の清気であり、在泉は火の熱気であることから、人においても寒熱が入り乱れる状況に陥りやすいと考えられます。例えば、悪寒発熱したり、足は冷えるが頭がのぼせる更年期障害やホットフラッシュ、のどが腫れて咳嗽したり、大小便の問題に発展することもあるでしょう。

こうした時、基本的には足や身体を冷やさないことが大切です。頭寒足熱の原則に従い、足は温め、暑いからといって冷たいものをガブガブ飲んで胃腸を冷やすことなく、頭部は冷却し(鼻呼吸を意識しましょう。頭が疲れたときは氷で後頭部を冷却することもおススメです)、暑熱は避けて、胃腸が弱らないよう工夫しましょう。適度な運動を継続することで血流をよくし、栄養代謝を高めて手足末端まで血液を行きわたらせましょう。

本年のように火運不及の場合には、水の勝気が発動し、火の鬱気がたまって火運不及を助けようとする土の復気が発動します。その場合には、さらに寒冷の気候が現れたり、寒気を抑えようとする土の雨気による大雨に見舞われたりします。

この寒水の気と湿土の気は、本年の四之氣(大暑〜白露  7/23〜9/22)のあたりでもみられますから、湿寒がたまりやすく、このころの気候変化には注意が必要と思います。

2023年は全体を通して、寒熱入り混じる気候となりそうで、なかなか安定しにくいと想像しますが、在泉に少陰君火が位置していることと、司天の陽明燥金の政である急切の性質から、金気と火気が合うことで冬季に地中に隠れる虫たちも隠れず、流水は凍らずとあり、比較的温暖な気候となるかもしれません。

心と肺を助けるだけでなく、脾で血を補い十二指腸の働きを促し肝門脈への吸収をよくして胃腸の働きを改善し、湿寒を患いやすい勝気と復気に対してもカバーできるツボの組み合わせは、「内関(ないかん)」と「公孫(こうそん)」がおススメです。

指圧やお灸をしておくと良いですよ☆

【内関(ないかん)】

手首の掌側にある横すじから、指3本分、肘に向けて下がったところ。

握ろうとするとできる二本の腱の間にとります。

多くは右側を使いますが、触ってみて気持ちいいほうや、凹んだり固かったり気になる方をとるとよい。

心臓に向けて指圧するか、お灸します。

【公孫(こうそん)】

足の内側。親指側面内側の出っ張りから踵に向けて指2~3本分後ろにあります。

左にとったり右にとったりします。

極端に凹んでいたり固いほう、押すとツーンと響く方の公孫を使いましょう。

指圧やお灸をします。

京都市東山区三条の鍼灸・接骨院 白澤堂HAKUTAKUDOU

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Nagahama

はじめまして、鍼灸・接骨院「白澤堂HAKUTAKUDOU」の院長・長濱です。 当院では、東洋医学の幅広い知識を現代に活かし、皆様の健康を支える施術を行っております。気血のバランス、骨格のバランスを整えて本来の正常な機能と動作を取り戻すことが大切です。心身のお悩み、お気軽にご相談ください。

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