突然ですが、身長からあなたの最適な血圧を知れたらいいと思いませんか?
今回はそんなお話。
時間のない方は、目次から血圧の求め方だけでも読んでみてくださいね^ ^
目次
血圧の正常値はどのようにして決められているの?
血圧は、心臓の拍動によって血液が動脈の壁を押す圧力です。
血圧には上の血圧と下の血圧がありますよね。それぞれ収縮期血圧と拡張期血圧といって、ポンプの役割をする心臓が血液をギュッと押し出すときに動脈の壁にかかる圧力を収縮期血圧:上の血圧と呼んでいて、押し出して心臓が拡張したときに動脈壁にかかっている圧力を拡張期血圧:下の血圧と呼んでいます。
家庭でも測れる健康バロメーターとして血圧はとてもポピュラーなものですが、最も危険視されるのはやはり「高血圧」ですね。
日本人の死因上位三大疾患である「がん・心疾患・脳血管疾患」リスクに大きく関わってくる要素でもあるからです。
ここで、血圧の正常値はどのように決められているのでしょうか?
図をみてみましょう。
日本高血圧学会では、本稿執筆時の2022年現在は、正常域血圧が「130/85mmHg未満」と定められています。一方、高血圧が「140/90mmHg以上」と定義されています。つまり、上の血圧が140mmHg以上、または下の血圧が90mmHg以上の場合に高血圧と分類されます。
しかし、昔は160/95mmHgが高血圧の定義でした。定義が現在の「140/90mmHg」に変更されたとき、一夜にして高血圧患者が急増することとなったわけですが、似たようなことは近年にもあります。
それは、2014年に日本人間ドック学会は健康診断に利用する血圧の正常な範囲を「収縮期血圧88~147mmHg,拡張期血圧51~94mmHg」と発表しました。
この基準値は、先の日本高血圧学会が定めた正常血圧「130/85mmHg」とはけっこう違いますね。
これによって、コロコロ変わるいい加減な健康基準値としてマスコミによって取沙汰されたりもしました。実際には、基準値を決めるときの目的や視点が異なるために、このようなことが起きています。
上のグラフは血圧区分と循環器疾患の死亡リスクの関係を示していますが、上の血圧(収縮期血圧)が140以上の場合、死亡リスクが増加していることがわかります。
このように、疫学調査によって死亡リスクが高まる血圧の分岐点を調査して、死亡リスクや様々な疾患の罹患リスクが140/90mmHg近傍で高まることから、高血圧を定義しているようである。
実際、診断基準として一見それで問題はなさそうにみえます。
しかしながら、「この程度血圧が高いと問題を起こすから悪い」という話ばかりで血圧の定義や数値の根拠は見当たりません。
正常域血圧「130/85mmHg未満」とありますが、万人をこの数値に押し込めるので、ここには年齢や体格や体質などの個人差は無視されます。
もちろん、日ごろから自分の安静時の血圧を測っていて毎日ある程度同じかどうかを知っていて、日本高血圧学会の正常血圧と照らし合わせながら考えるならそれでよいのですが、
自分自身、つまりあなたにとって最適な血圧というものをどのように定義すればよいのでしょうか?
本稿はその算出の仕方をお伝えしようと思います。
血圧とは何か?
ここからは、世界で初めて厳密に血圧を定義された吉田勘持氏の著書『「歩行」と「脳」~生きる力を心もよう~』を参考にお伝えします。
もういちど、血圧について考えてみます。
そもそも、血圧はなぜ必要なのでしょうか。
血圧がなければ、どうなりますか?
もちろん、四肢末端に至るまで全身に血液を送り届けるために血圧が必要なのですが、実は全身の血管構造のなかには、ある程度圧力があれば自動的に血液を流すシステムが備わっています(ここでは割愛します)。
ただ、少なくとも心臓から脳の高さまでは血液を揚げる必要があるのです。
私たち人間は直立する動物ですから、脳の高さまで血液が上がらなければ、貧血で倒れてしまいます。脳は覚醒安静時でも全身の25%もの血液を必要とするので、血液供給が滞ると即座に機能不全に陥ってしまうからです。
ここから血圧の意味がわかりますが、
血圧とは、重力に逆らって脳の高さまで血液を揚げるために必要な圧力ということができます。
このことから、個人の身長から必要な血圧を算出することが適切であると考えられるわけです。
あなたに適した血圧を求めてみよう!
まずは収縮期血圧(上の血圧)を求めてみよう
さっそく、あなたの頭の高さまで血液を揚げるのに必要な血圧を求めてみましょう。
その値が、あなたに適した最高血圧の目安となります。
頭のてっぺんまで血液という水を揚げるためには、どのくらいの圧力が必要かを考えます。
水のもつエネルギーを水柱の高さで表わす用語を「水頭(すいとう)」と言いますが、この水頭の高さまで血液を持ち上げる圧力が必要ということになります。
ということは、最高血圧はそのまま身長の高さまで血液を揚げる圧力である、ということです。
上図をみて頂いて、例えば身長174cmの方であれば、
単位をmmに置き換えて、1740mmです。
血圧は普通水銀柱の高さの圧力で求めますので、
水銀の比重(水の同一体積と比べた水銀の質量比)である13.6で割れば、
1740÷13.6=128mmHgとなります。
身長174cmの方の場合、物理的に128mmHgという圧力がなければ、直立した時に、脳がある頭の高さまで血液を揚げることができないということが分かります。
よって、身長174cmの方の最高血圧は128mmHgが目安ということが分かりましたね(^^)
次に拡張期血圧(下の血圧)を求めてみよう
最高血圧は身長によって算出できました。
同様に最低血圧も求めていきましょう!
最低血圧は、心臓が拡張して血液を押し出していないときの圧力です。
これは、単純にヒトの容積のなかにおさまる水分量がもつエネルギーを求めればよいだけです。
人間の平均的な水分量は体重の60%なので、容器の中に6割ほどの水が入っている状態を考えればよいので、成人の場合はこの時の水の高さ(水頭)がちょうどお臍の高さにあたります。
身長174cmの人では、だいたいお臍の高さが102cmなので、
これをmm単位に変換して水銀の比重13.6で割り算します。
1020mm÷13.6=75mmHg
と求めることができました☆
よって、
身長174cmの方は、128/75mmHgが正常な血圧であるという事が分かります(^^)
血圧の算出方法まとめ
さいごに計算の仕方をまとめてみましょう。
いかがでしたでしょうか?
もちろん、ここで求めた値は目安です。
実際には、年齢を重ねると動脈硬化などによって血管内壁の弾力性が失われて血管自体が硬くなるため、頭の高さに血液を揚げるための圧力は多く必要になりますし、身長だけでなく太っているか痩せているかによって、さらには持病によっても変わります。
このような根拠のある血圧の値を参考にすれば、自分自身に適した血圧値を知ることができますし、様々な都合でこれからも変わるかも知れない統計で求められた値に一喜一憂することもなくなるでしょう♪
今回ご紹介した『「歩行」と「脳」』の本では、今回ご紹介した血圧の定義を応用して、寝ている時の血圧や動いている時の血圧の算出方法、そして病院などで寝たきりになっている方が、感染症などによる死亡リスクが極端に少なくなる寝方などについても詳しく解説されています。
ご興味ある方は、是非ご一読されることをオススメします(^^)
参考文献:『歩行』と『脳』~生きる力と心もよう~ 吉田勘持 著
京都市東山区三条の鍼灸・接骨院 白澤堂HAKUTAKUDOU
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